二次創作

「満花のこと。」

もしかしたら、一年以上更新してないような気が。(汗)

別作品に手を出してしまったせいもありますが、
すっかりご無沙汰しております。
というか、すでに「何それ」状態の方もおられるかと
思いますと;。

思えば「ハトプリ」最終話で花咲さんが
「宇宙飛行士になる」宣言をされた時に、勢いで
「東アニ日曜枠新旧コラボ」みたいなノリで書きだした
のが始まりだったような。

そのうちにBS11で再放送も始まって。そろそろサンシャインさんが
初お目見えなさるところまで来てしまってます。

話は戻って。本編は、実は書き手的にはほぼ真ん中くらい
だったりします。やっぱり、始めたものは最後までけりつけないと;。

と言うことで。まずはリハビリから入らないと。

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「宙に輝け、満開の花」#32.

このところ、いざ書こうとしたらアクシデントに
見舞われてます;。例えばマイクロソフトさんから
ファイルの更新とか;。で再起動するのになかなか
復旧しないとか;。真夜中の二時間って大きいのに。
(涙)さて今のうちに書いてしまおうか;。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「幼き日々に見た夢が終わるとき・2」

「お帰りなさい、先輩。」
「急な召集」でいきなり持ち場を離れざるを得なかった
彼女に対して、後輩の花咲は明るくその帰りを迎えた、

つもり、だったのだが。

「ごめんなさいね。長い時間、持ち場離れてしまって。」

霧野嬢。言葉面だけは丁寧でも。それ以外は取り繕うのが
精いっぱいというのが明らかに見て取れた。

明らかに、先輩は自分に対して、何かを隠しているような?

「すいません、先輩。私何か気に障られるようなこと
言ってしまったみたいで。」
花咲、さりげなく様子をうかがおうとするも。

「大丈夫、そんなことないから。あなたは気にしなくて
いいのよ?」
霧野嬢、いつものように、「満面の微笑み」を浮かべて
返事。大抵の人間~特に男性~ならば、これですべてを
隠しおおせたのであろうが。

職場の後輩であり、最近ではそれ以外でも次第に心を
通わせることが増えてきていた花咲からすれば、その
行為は、いわば
「おのずから心の内を知らしめる」ものでしかなかった。
その証拠に。

彼女はその一言以降、一切花咲とは顔も合わせず、一言も
交わさず。他からの物言いすべてを寄せ付けない何かを
全身に漲らせて。それに加えて、表情一つでさえも、
外からは明確に見切られることの無いようにふるまっていた
次第であり。

尚且つ、仕方なく顔を合わせるときは、ありえないくらいの
満面の笑みで「完全武装」を施して。

だがそれゆえに、花咲は「先輩」である霧野嬢の身に何が起きたのかを、
容易に察することができたのは、皮肉というか。いかに彼女が
長い間、同性との付き合いに慣れていなかったかの証でもあるというのが。

「やっぱり、何かあったんだ。それも、かなりとんでもないことが。
何か分かれば良いんだけど、たぶんこの様子じゃ、先輩、私には
絶対自分から言わなさそうだしな。何かきっかけがあればいいん
だけど…。」

仕事の合間に、花咲。「先輩」を垣間見るが、一向に一部の隙も
見受けられない。というより、隙を見せないように、作らないように
勤しんでる、といったほうが正しいか。

腹の探り合い。二人の間に、糸が張り詰めたような緊張感が
均衡を作っていた、その時。

どれだけ最初から時間が経っていたのだろうが。

「上」から花咲宛に「連絡」が入ったのが、丁度そんな頃、だろうか。
内容はと言えば。
「え…嘘でしょう?有り得ない!」

思わず大声を上げてしまった花咲。だがそれと同時に、自分に対して
針のごとき「視線」が向けられているのにも気づいたのだったが。

「お分かりかしら、花咲さん?…ええ、そういうことなの。」

霧野嬢。一見いつものように微笑んでるようではあったが、

視線だけは氷の如く冷たく凍り付いていた。
「おめでとう、って改めて言わせていただくわ!」

    <続く>

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「宙に輝け、満開の花」#31.

「幼き日々に見た夢が終わるとき・2」

我が家に某ゲーム機がついに降臨いたしました。このあたりに
手馴れてる人が、配線に結構時間かかってたので、やはり自分が
生兵法で手出ししなくて改めて良かった、と思うのと同時に。

こういうのや録画再生機器などがこんなにありふれてくれば、
テレビ番組の視聴率、という数字の信頼性はかなり変わってくる
のも当たり前だなと思うように。

~~~~~~~~~~~~~~~~~

「では博士。プロメテ経験者である私に、花壇の水まきからしろ、
とこうおっしゃられるわけですね?」
青天の霹靂、としか言いようのない、この降って湧いてきた
「異動話」に、前線でオペレーションをしてきた実績を
自他ともに誇る「彼女」がかみついてきたのは、言うまでもない。

「常に冷静かつ客観的なものの見方ができるはずの君が、
この懸案に関して、そのように先方を貶めるような物言いを
するのは、相手方に対しても、自分自身に対しても失礼だとは
思わないのかね?」

年の功、というべきだろう。自分の身内である彼女の出方を
まるっと把握していたかのごとく、大江戸博士。大事ないかの
如くに切り返す。

「君も、花咲君と一緒に仕事をしていて、彼女がいずれ正式
配属されるであろう部署が、今後の全体の計画において重要な
ポストになるであろうことは、分からないはずがなかったの
だがね。」

「…確かに、博士のおっしゃられる通りです。」
霧野嬢、とりあえずは相手に同意する節を見せるも。
「でも、だからと言って、今まで私が責任もってやってきたことを
ないがしろにすることはできません。」
やはり、自分の意見を押し通す。当たり前だ。この理不尽な事態に、
何もしないで屈服するわけにはいかないのだから。

「ないがしろにするんじゃない。むしろ大事に考えていたからこそ、
今の今までに延びてしまったというほうが正しい。」
「…それ、どういう意味ですか?」

霧野嬢。相手の思ってもみなかった出方に対し、思わず懐疑の念を口に出して
しまう。

「前々から、君をぜひともこちらにほしい、とは向こうから切望されていたの
だが。もちろんこちらも有能なスタッフであり尚且つ、有事をともに乗り越えてきた
貴重な人材を手放すわけにはいかなかったから、延ばし延ばしにしてきた。
だが今、新人組の加入により、要請を拒むわけにはいかなくなったというのが
実状なのだ。事実、向こうの部署は移民計画にあたって、早急の対策が迫られて
いるから、あたれる人材が一人でもいるのだよ。」

「すると私は、自分の居場所を譲るために、後輩だと思い込んでライバルを
育てさせられたというわけですね?」
霧野嬢、あえて痛いところに切り込む。一番そうであってほしくないのは、
自分だというのに。

「…残念だが、否定はできない。」
博士の返事に、やはり図星であったか、と確信を得ると同時に。

「全く合理的な方法ですね。そうですね。要らなくなる人間に、後釜を
育てさせるなんて。当事者さえ納得すれば、あとは全く問題ないですから。」
言葉の冷静さとは裏腹に、それを物言う口調はかなり不安定なものとなっていた。

では自分の「想い」はどうすればいいのだろう?いや自分だけでなく、
自分に関わる人たちのも,全て。

否。分かっていたはずだった。いつかはこの日が来ることが。
だが。心の中で、ひそかに叫ぶ。

「私の居場所、盗らないで…!!」

 <2・了。3に続く。>

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「宙に輝け、満開の花」#30.

回線を早くする工事をしました。ということは。
前の設定全部リセットになるわけです。いくら
「超簡単」と銘打ってあっても、慣れない身では
時間がない;やはり立ち上げまで込みで頼むべきだった
と改めて大後悔;。時は金なり、だしなあ。

「幼なき日々に見た夢が終わるとき・1」

「…今、何とおっしゃられました、博士?」
「だからリサ、異動だよ、君の。今の部署からの」
「何故です、博士?私は全く納得がいきません、
異動なんて!理由をお聞かせいただけますか?でないと
ただでさえ「寝耳に水」なのに、納得出来ません!!」

次期プロメテ計画要員育成計画プロジェクトチームと
して、期間限定で地球に一時「帰星」してきた、
ジャスダムチームの「第一艦橋組」に向けて。
最高責任者として向うに常駐している、大江戸博士からの
臨時通信入電と言うことで、該当する主要メンバーが緊急召集かけられた
際のこと。
名指しされたオペレータ嬢以外にも、その場に居合わせたもの
ほぼ全員が、この「いきなりの人事異動」に大きな衝撃を
受けていた。

「どこに異動になるっていうんですか?ここを預かる最高責任者
として、納得いく説明をしてもらえませんか、博士?!」
タクマ、ディスプレイの向こうの人物に対して、猛然と
訴える。
ここを預かっているのは自分である。ならば前もって自分にだけは
何某かの連絡くらいはあってしかるべきではないか。それとも、
まだそれだけの信頼に値しないというのか、「自分」という
人間は。
こんなことでは、自分はまだ、誰も守れないではないか?

様々な思いが交錯する間に、遥か彼方から返事がやってきた。
「前々から『プロメテ環境開発プロジェクトチーム』から
現場経験者をこちらによこしてくれ、と頼まれていたんだが、
こちらも事情があるので、返事を先延ばしにしてた。
が、いずれ向こうに配属されることになるであろう、新人の
花咲君をこちらで研修したのち、一緒にリサも現場経験がある
オペレータとして転属することに決まったところだ。」

大江戸博士からの、極めて真面な内容の返事。
「それにこの異動は、リサにとっても悪い話ではない。むしろ、
個人としての技量を認められて向かい入れられるのだから。
いつまでも私のもとにいては、身内びいきということで、
正当な評価をされないほうが、君にとっても不幸だと思うが。」
霧野嬢、改めて「身内」からの指摘に思う。

確かに、上層部の身内というだけで、自分に対して、陰で様々な物言い
がされてきたことを知らないわけではない。だがそれにいちいち
構うことなく、ただ仕事での成果を地道に上げ続けることで、
不当な評価を払拭してきた、つもりではあった。
もちろん、
『彼』のそばに常に居たい、という思いも多分にあったわけではあるが。

「もちろん、次回のプロメテ行きには差し支えることはない。」
一番の懸案に即効答えるように、返事が返ってくる。
だが、そのほかは?

「その場合は、リサは花咲君についてもらうことになる。彼女は
まだ新人で専門知識はあるが、まだ現場を知らない。そこで、経験のある
君に、彼女の補佐としてついてもらいたい。そのために、花咲君を
君のもとで研修させている。」

そんないきさつがあったなんて。
霧野嬢、複雑な感情にとらわれる。利用されたというか。
後輩である花咲との間は、最初こそ越えられない壁があったものの、
幾多のアクシデントを経てきた今では、パートナーとしての関係が
築かれつつある。

それが、前もってそうなるように仕組まれていたのだとしたら?
心の奥底の、一番深いところに、土足で踏み込まれたような。そんな
思いが、『怒り』となってふつふつと湧いてきた。

「では博士。プロメテ経験者である私に、花壇の水まきからしろ、
とこうおっしゃられるわけですね?」

     <了。次回に続く>

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「宙に輝け、満開の花」#29.

年も明けて小正月も過ぎたこの頃。仕切り直して始めます。
とはいえ、本来ならばこのエピは年末に上げるべきだったと
思うのですが;。どうしてもこのあたりに伏線にしたいな、と
思いつつ。

「瑠璃色の天球儀」

「寒くなって来ましたね。そういえば、世間ではもうじき
クリスマスですし。」
「もうそんな時分か。…早いな。」
新人の養成と、一般世間への広報と理解の浸透。
それにもまして、今だ根深く存在する
「惑星移民反対派勢力」への対応。…本来ならば
「根絶」なのだろうが、こればかりは不可能である以上、
出来る限り不穏分子を抑える方向しかとれないとして。

各方面に出来うる限り動いていたので、時節がいつの間にか
その年も押し詰まってきていたのに気づいたのは、かなり
遅かった、という。

「小さい時はパーティーとかプレゼントとか、物凄く
楽しみだったんですけどね。今はこうやって訓練やら
準備やらでそれどころじゃなくなりましたけど。」
「でも、それなりには何かしたいですね。また年末で
故郷に帰ったりする前に。」

後輩組との何気ないやり取り。だがそれも、ある一人の
新人女子のさりげない一言で平穏が破られる。

「そういえば以前、霧野先輩の部屋に遊びに行かして
貰った時。凄く綺麗な球が飾ってあって。藍色、というか
瑠璃色っていうか。気になって何ですか?って尋ねたら
昔クリスマスプレゼントに貰った『天球儀』だ、って
おっしゃってらしたんですよ。…当然、一文字先輩は
ご存知だと思いますけども。」

青天の霹靂。まさかこんなところで、全く「火のないところ」
からちりちりと煙が上がろうとは。思いがけず、声を上げる。

「あいつ、まだ持ってたんだ…。あのときの、あれを。」

回想。時はさかのぼって、まだタクマたちが幼い頃。
まだ父・断鉄が健在だったから、おそらくは5~6歳だった
だろうか。
クリスマスパーティ。父と、親友であった大江戸博士が
子ども達のために、と開催してくれたもの。
そのときに、彼らは貰ったプレゼントを早速見せ合いっこ
していたのだが。

「…何、それ?」
目の前に居る、幼なじみの少女が大事そうに抱えていたもの。
クリスマスという事で、レースとフリルに彩られたピンクの
ドレスにおめかしした、自分と同い年の女の子がおねだりした
には、少々違和感があるというか。

「天球儀、って言うの。綺麗でしょ?お空のお星様が描いて
あって、光つけたら、プラネタリウムになるんだって。」
いやそれ、判ってる。星達がちりばめられた、綺麗な瑠璃色の
球体。でも問題はそこじゃなくて。

「女の子だったら、クマのぬいぐるみとか、もっと可愛い
ものだと思ってたけど。」
「あらしつれいね。おんなのこだからって、決め付けないで
ちょうだい。」逆にやり込められる。そういえば「あいつ」は
昔から、
「オンナノコだから」と言われるのを嫌がっていたっけ。

「『お兄ちゃん』からなの。」とても嬉しそうに、誇らしげな
表情で。あなたとちがってそんな失礼なこと言わないんだから、
とでも言いたげに。

「そんなに星空見るのが好きだったら、夜空の星のいろんなことが
判るものを見つけてあげるから、って言ってくれてたら、これ
だったの。」

まるで宇宙を丸ごと独り占めするような感覚。

「…あたし、何時か『ここ』に行きたいな。」
ぼそり。「あいつ」がつぶやく。
「自分で見てみたいの。こんなに綺麗なところ。」
「俺だって、父さんみたいに、絶対に行くんだから!」
ムキになって言い返す。やっぱり子どもだ、自分。

「じゃあ、大人になったら、俺が連れて行ってやるよ。」
間髪いれずに、「あいつ」が返す。
「ううん、自分で行くから。自分の目で、みたいから。」
思いがけない返事に、何とか男児の面目を保とうと、どうやら
言葉を捜したらしく。
「じゃあ、競争だ。俺の方が先に宇宙に行くからな。」
「あたしも、負けないから!」

今でもあの「瑠璃色の天球儀」を大事にしている、と言うことは。
「あのときの思い」も大事にしている、と言うことであって。
子どもだった当時では判りえなかった、
「かの天球儀」の意味するものを考えると。

「…先輩?一文字先輩?どうされました?天球儀が
何か?」
後輩女子。叫んだ後気味悪いくらい沈黙してしまったタクマを
心配して、声をかけてくる。
「ごめん、何でもないんだ。…折角だから、クリスマス、なんか
しよう。良い機会だし、な。」
にこやかに、その場を取り繕う。が、心の隅に、冷たく凍てついた
「瑠璃の珠」のようなものが生まれるのを、無下には出来ない
タクマだった。

     <了>
何とか締めました。パソコンの入れ替えしてますが、やはり毎度
大変です。(涙)

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「満花」のこと。

今年も24時間をきりました。ので、こっち方面の
つれづれなどを。

「満花」はまだ続きます。というか、どうやらこれから
霧野さんが追い詰められていく、というか。最後は
ハッピーエンドになるはず、なのですが。

一応、予定通りの進行だったりします。この先、
色んな伏線を回収していくことになるかと。

たまたまイラストを同時進行してますので、まずは
そちらを先に仕上げたいな、と思ってます。それにしても、
しょこたん、知ってたけど絵が上手過ぎる&手が早;。
つくづく羨ましい;。
現在線画補正中。年明け早々には彩色上げたいな、と
思っております。

今年もお世話になりました。
皆さん、よいお年を。

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「宙に輝け、満開の花」#28.

前回から多少時間が空いてしまいましたが、続きです。
その間。実はこれを上げるかどうか迷ってましたが、
入れることにしました。次回でやっとシーン変わるかな。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「静かなる嵐、荒ぶり叫ぶ凪」

回想。よくある会話。ほんの些細な。

「リサが飛行訓練してるんだって?」
ある日、奴(嵐士)から聞かれた質問。
「ああ、そうだけど?…って、もう知ってるのか。
一応は『関係者意外禁則事項』になってるんだが?」
秀人、しれっと流す。
「隠しておくほうが無理ってもんだろう?時間外に
施設が使われてるのがずっと続いてるんだから。
公然の秘密って事くらい、誰が見たって判る。」
かなり持ち場の離れている『奴』にさえ、もはや
知れ渡っている、、と言うことか。

「姫様御自らの願い出だそうだ。調査や偵察するのにいちいち
パイロット付けてもらうわけにいかないから、だそうだ。」
「理にはかなってる、な。一応。今のところ『情報・諜報担当』
としてはむしろ、それくらい出来てしかるべきなのだろうし。」

奴、言葉の上では納得しているようでも、本心は必ずしもそうではない
と言うのが、表情や言い回しやらにありありと見えている。

「そもそも、あの調査艇自体、余り大型ではないからな。あくまでも
フットワークの良さを優先して、装甲やら機関系やらがかなり軽量・
簡略化されている。それこそ、業務で乗り回すのには、ガタイのでかい
大人の男よりも、女性の方が向いているくらいだからな。」
「メカニック関係はさすがだな。そういえば伴太が『あれ』に乗れない
事を悔しがってたが、そういう事情だったのか。」

奴。エンジニアだけあって、観察力、洞察力、推察力が素晴しい。
だが、奴の話はまだ続く。

「ただ、それはあくまでも平常時の一般論であって。今のように
常に有事の際を最優先する状況では、また事情が変わってくる。
…彼女は、そこまでの訓練が出来ているんだろうか?」
「専属パイロットじゃないからな。そこまで深くは関われてない
と思う。基本、自分の勘と経験で局面を判断するではなく、
コンピュータがはじき出すデータにしたがって行動する、みたいな
感じだしな。あくまでもオペレータがメイン業務だから、彼女は」

「そうか…危険だな。」
「え?」
同僚の意外な言葉に、思わず聞き返してしまった秀人。
「だから、危険なんだよ。経験値の低い余所者が、多少の
腕があるからって、今みたいに、いつ何が起こるかわからない
非常時に出しゃばるのは。」
 普段は穏やかな彼が、珍しく熱の篭った自説を説くのに、
思わず引きこまれてしまう秀人。
「誰も気づかないのがおかしいんだけど。と言うか、もしか
したら、わざと気づかないふりをして、彼女の思うように
させている、とか。」
「嵐士、お前…何が言いたいんだ?」

秀人、そこから導き出されるであろう推論の結果に思わず、
声を荒げそうになる。

「彼女は、リサは。…表向きはともかく、本音のところは
タクマを追いかけたいんだろう?ただ見ているだけでなく、
自分も何か役に立ちたいとかで。」

遂に「言葉に」表してしまった。誰もが思いつくけれども、
敢えて口にしなかった「真実」を。

「彼女の立場なら、思っていても、迂闊に最前線に出るべきじゃ
ないんだ。そもそもあの人は、大江戸博士の秘書、と言うか
業務サポートから関わってきてるだろう?自分自身が
『歩く最重要機密』であることをもっと自覚しないといけない。
それなのに、そんな危なっかしいことを上層部が許可してるなんて。」

「キャプテンが存命なら、そんなことは決してさせなかっただろうよ。」
秀人、途中で言葉を塞ぐ。
「つまり、『そういう立場』であることすら、自覚してないんだろうな、
あの女は。」
 奴、いきなり話を終わるほうへ持ち込む。そして。

「それほどまでに『想って』もらえるの。…羨ましいかな。」
「嵐士、お前…?」
「秀人、悪かったな、つまらない話に付き合わせてしまって。」
『話』はそこで打ち切られる。言い出したものの意思によって。

だが、顕れた『想い』は消えることなく、今に至ることになる。
「あいつも、俺と同じ…だったのか。」

後日。奴が危惧したとおりのことが起きてしまい、奴自身も
そのときのアクシデントに巻き込まれて絶命してしまった。
だが。

実妹である凪に、例え僅かでも何某かを語っていたとすれば。

「そういえば、奴は名前とは裏腹に、随分と穏やかだったな。」
翻って妹はと言えば。

「嵐が、来るな。…どうやら外だけじゃ、なさそうだ。」

では自分はどうすればいい?改めて秀人、己に問いかける。

    <了>
一応、一連のくだりは一段落です。次回からはまた新場面より。
こんなに引っ張るとは思いませんでした。いや言葉は生き物だ。
ではまた。

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「宙に輝け、満開の花」#27.

「月に啼く・2」

昨日「旧ヤッターマン」見てましたら、ここでも普通に
「女だてらに」な言葉使いを発見。今これを作中に使ったら、
何か色々とクレームが来そうだ。そういえば、今だかつて
「男だてらに」という言い回しを聞いたことがないw。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「知ってる訳なんかない。リサはその時から、というより
それ以前からずっと、タクマしか眼中にない『お姫様』だから。」
「それじゃあ、他の人たち、というか、秀人先輩は。」
「…お察しください、だな。」

花咲が当惑するのを、想定の範囲であるかのごとく
あしらうように、その先を続ける秀人。
「当事者である『二人』は絶対気づいてないけど、
周りの人間は思い知らされるんだよ。彼女は奴には、

 特別の笑顔しか見せていない

ということにね。」

「…どういうこと、ですか?それ。」
花咲、何某かの思い当たる懸案が頭をよぎる。まだここに来て
日が浅い自分でさえも、思い当たるものが。ましてや様々な
喜怒哀楽を、彼等と共に乗り越えてきたこの人にとっては。

「最初は凄く嬉しかったさ、自分も奴と同じように受け入れて
もらえてる、と思うことが出来たから。けど。気づかされたんだよ、
奴にね。」
「何かあったんですか?お二人の間に。」
「最初はただの世間話、だった。けど、話の流れで、
『リサは優しいだけじゃなくて、強いんだ』って奴が言ったときに、
残念だけど、判ってしまった、っていうか。…素晴しい『大女優様』
だ、あの姫さんは。惚れた男に、完璧に素顔を隠し続けてるんだから。」

この人がここまで心の奥底をぶちまける理由は何なのだろう?
花咲、敢えて相槌を入れずに、聞き続ける。

「今でこそお前達新人の女子組が居る訳だけど、あの時は
表立っての女性乗組員は、彼女しかいなかった。野郎共の
中で、『女の子』が一人。随分と辛い思いをしたこともあった
だろうし、実際そんなところにも、出くわしてしまったことも
あったから。そんな時でも、あの女は、奴の前では笑ってたんだよ。
…というか、絶対に泣き顔を見せなかった、というか。そんな
いじらしいとこ見たら、男だったら思わず支えたくなるけどな。」

男性心理ってそんなものなんだ、と花咲、心のうちでつぶやく。

「で、見事に『理想の自分』を演じる彼女が「本当の姿」だと
思い込んだ結果が、「強い女」だからな。それが今でも続いて
いる、というわけだ。別の目で観れば、タクマが知らない、
彼女の真実の姿を、自分達は知っているのが、ささやかな
意趣返しでもあるわけだが。そんな与太話を、凪の兄貴と
よくやってたな。」
「凪ちゃんのお兄さんも、って。じゃもしかしたら。」
花咲、今と過去がやっと繋がったので、思うところを
問いかけると。

「ああ、そうだよ。嵐士…凪の兄貴…も、リサに惚れて
いた。俺はともかく、あいつは既に『自分の立場』って
ものに気づいてたから。…あいつはそういう意味では
俺より強かったな。」
「どういう風に、ですか?」
「『自分に向けられていないのが判っていても、あの女が
奴に向ける笑顔を見られるだけでも十分だ』と。
だから、「あの女」を守るために、有事の際に殉職した。
『俺はお前と違って、あの女と同じ部署で顔あわせることは
まずないからな。』羨ましいよ、お前が。と必ず決まりごとの
ようにこの言葉で締めくくって。

「凪ちゃん、きっと、お兄さんから聞いてたんでしょうね。
好きな人の話。」
「…だろうな。」あくまで仮定であるはずの花咲の言葉を
肯定する秀人。
「だとしたら、今のあの二人の様子を見たら、なおのこと、
許せなかったんだろうな。兄が命がけで助けた『片想いの人』
が、未だに『そうなって』なかったんだからな。」

「何故ですか?」愚問だ、と思いながらも、花咲。思わず口から出て
しまう。しまった、と気づくも、既に遅く。だが、そんな後輩を
フォローするかのように。

「色々理由はあるんだろうけどな。周りに気を遣ってるとか。
でも実際のところは当人たちでないと判らないだろうし。
…あの二人の間には、誰も入れないから。」

花咲、また同じ言葉を聞いたな、、と思いながら。
「自分があの女を幸せに出来れば、と思うけど、それが出来ない
のなら、せめて幸せになってほしい、と願うかな、って
言うか、な。」

「先輩、失礼かもしれませんが、…大人だと思います。普通、
そんなところまで、相手を思いやるなんて事、出来ませんから。」
「お前の言うとおりだとしたら、結構俺、大人なんだろうな。」
秀人、後輩女子に軽く微笑む。そして。

「花咲、悪かったな。与太話に付き合わせてしまって。」
「いえ、良いんです、色んなお話聞かせていただいて、ほんと、
有難うございました。」思わずお辞儀をし倒す花咲。実際彼女は
内心焦っていた。こんな重い話を聞かされて、どうしたらいいのか。

一方、秀人はといえば。
「自分、大人なわけないだろ。自分だけ抱え込むのが嫌になって、
周りに投げ出しただけ、なんだから。」心のうちを誰かに聞いて
もらえば、もしかしたら楽になるかもしれない、と思ったのは
早計だった。
「巻き込んでしまっただけ、なんだろうな。花咲も、凪も。」

外は「しけ」。どうやら長く引きそうな悪天候に変わった模様。

       <了>

今ままで一番時間がかかりました。大変だったというか、
ややこしかったというか、です。

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「宙に輝け、満開の花」#26.

レコーダーが無事、新しくなりました。今時らしく、
ブルーレイデフォとか、容量1テラバイトとか。
操作も随分簡略化されましたが、CS録画予約設定したら、

電源が落ちない(涙)。ちなみにパナソニックディーガ。
いずれ色々と馴染んで来たら、分かるだろうか。
…電気代を気にする自分;。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「月に啼く・前編」

「ちょっと昔話に付き合ってくれるかな?。」

途中で置いてきた仕事が気になるから、と穂波が
いそいそと持ち場に戻り、花咲も、さて自分もそろそろ
現場に戻らないと、と思った矢先のこと。

切り出してきたのは、秀人から、であった。
「俺の用事だった、と言えば、あいつら絶対文句
言えないしな。」それだけのことを普段してるから、
と半ば冗談めかしながらも。

「これ、人に話すの、花咲、お前が最初になる。
…誰にも言わないで墓場の中に持っていくはず、
だったんだけどな。」

何気に軽く流すような物言いを、普段からする人
である。しかし、今回に限っては、少しづつ、
いちいち確かめながら、言葉にしている。そんな感じを
受けつつも。何をどう相槌を打てばいいのだろう、と
模索していると。

「俺と、凪の兄貴とは、結構気が合っていた。」
相槌を待たずに話を進めだしたのは、やはり秀人だった。

「俺が基地に来たてで、、まタクマたちともどうやって
付き合えば良いのか、まだ分からなかった頃なんだが、
最初に打ち解けたのが、そのとき技師として機関室に
いたのが奴、だった。」

「え、そうなんですか。私はてっきり、最初からお二人
仲が良かったものとばかり。」花咲、言葉を返す。何とか
差し障りない方向で。
「今でも仲が良い、というのはまた違うけどな。運命共同体、
というか。今でこそ、こんなこと言えるけど、そのときは
チーフパイロットにはどちらが選ばれるか、でかなり張り合って
からな。」当時を懐かしむかのように、秀人。

「で、そのときは分からなかったが、別件でも既にタクマと
遣り合ってたわけ、なんだが。」
「…霧野先輩、ですね?」相手の思惑を確かめるように、花咲、
問いかける。

「ああ、そうだ。」秀人、あっさりと認める。
「タクマだけ、というよりも、チームの若手の野郎共のほとんどが、
競争相手だったというべきか。凪の兄貴、嵐士もその一人だったわけ
だからな。」
「凪ちゃんのお兄さんも、そうだったんですか?」
意外なところで出て来た名前に、花咲、驚く。
「霧野先輩、ご存知だったんでしょうか…?」

   <続く>

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「満開の花」とスマプリ劇場版のこと。

前回の補足です。

幼いみゆきさん。
「続きは私が書いてあげるから」とニコちゃんに
誓います。二次創作、とも言いますが。

小坊だった自分も、中途半端にフラグ投げられた
某作品のヒロイン様に対して、もしかしたら当時、
「絶対、ハッピーエンドにしてみせる!」と思って
しまったのかもしれません。

で、長い間「忘れていて」。
…だって仕方ないです。ロマンアルバムはあったけど、
再放送だってなかったんだから。DVDBOXだって、出てたの
知らなかったんだから。

で、別の某作品をきっかけに、どうやらネット配信で
見られることを突き止めて。

で、たどり着いた結論。
「やっぱり、物語の続きは自分が書いてみせる!」
だったのいうのがなあ。

ただ、小坊当時でかの人たちを「ハッピーエンド」に
できたかと言えば、無理だったとしか。だって、
全てにおいて、スペックが伴わないし。まるで
「描きたくても描けなかったみゆきちゃん」の如く。

ニコちゃんは、みゆきさんが「今」になるまで9年で
済みましたが、かのお嬢様は、ゆうに30数年はかかってる。

変な話なのですが、どうやら「かのお嬢様」は自分にとっての
「ニコちゃん」であることを、改めて思い知らされました。
「ハッピーエンドにしてくれるって、約束したでしょ?」

ええ、しますよ。今度こそ。時間かかりそうだけど。

そもそも、今度の帝都行きも、きっかけは
「チラシにお嬢様がいらっしゃる」事からなのだし。

なので、今週もやや更新、遅れます。でも頑張って
「物語を作って」行こう。ちゃんと「終わらせる」ために。

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