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「ただそれは矜持と誇りのためだけに」

ザルツ特殊小隊442部隊の楽屋落ち話です。いろんなところで
「あの作戦自体無理すぎる」「要らん」等と言われてる;
「イスカンダル要人奪回(という名の拉致)作戦」の裏には
こんなやり取りがあってもおかしくなかったというか。

もしかしたら、単にべリス姐のオトコマエぶりと、
ノラン君が何故生き延びることになったのかが書きたい
だけかもしれない、と思いつつ。

「で、姐さんは本当にあの『綺麗な人』がイスカンダルの
ユリーシャ姫様と思っているわけ?」
「しっ!大きな声出すんじゃない!!物言う時には周りに
人がいないか気をつけろ、とあれほど言ってるじゃないか!!」

先ほど、メンバー全員を集めての「極秘任務伝令会議」の後。
最年少兵士であるノラン・オシェット伍長は自分より先輩の、
べリス・ライチェ隊員に、つい本音を漏らしてしまい、不注意を
窘められたところだった。

だが。
べリス自身も思うところがあったらしく、それ以上は後輩の落ち度を
責めず。それどころか、あたりを見回して人気のいないことを確かめると、
こちらへ来い、と彼に合図した上で。

「正直言って、あたしも怪しいと思ってる。」
とかなり小声で、彼に耳打ちしてきた。

「姐さん?!」
「また!本当にあんたは声が大きいんだから!!」
「ごめん…まさか姐さんまでが、俺と同じように思ってたなんて」
「あたしだけじゃない。恐らく他のみんなも…隊長も。」
「じゃあどうして?。」
「…断れると思うかい?『あたしたち』が。『二等臣民』である
『ザルツ特殊部隊』が?!」
「やっぱり…『汚れ仕事』なんだな…これも。」
「我々に振られた時点で確定、だろうが。」

普通に考えてみても、全うな理由があるのであれば、ガミラスと
イスカンダルの間柄である。正式な使者を立てて、外交筋を執るのが
正論である。
ではなくて、このように、純ガミラス人としては到底、
「関わりがあると思われるのは恥辱」とされる「任務」のために
「二等臣民・ザルツ民族」のみで構成される特殊部隊に「名指しで」
ふられてきた、ということは。

明らかに、流血を伴う、もしくはそれ以上の代償を要するということか。

「俺たちはガミラスに忠義を立てる覚悟があるからいいとしても。
この人がもし、姫ではなくて、他人の空似だったらどうするんだろう?
正義どころか、ザルツ全体の恥になりかねないかもしれないのに。」
ノラン、不安に思うことをつぶやく。

「最悪、そこまではいかないだろう。少なくとも、この『姫様』は
『テロンの悪魔の船』に乗っている時点で我々とは敵対関係になるの
だからな。…とはいうものの、ガミラスの思惑の『盾』にしていいかは
話は別、だが。」
どうやらべリスも、「姫若しくはよく似た他人」」については、
思いあぐねているところがあるらしい。

「かつてシュルツ指令の上司であったドメル将軍が、このために我々に
協力してくれと時間を割いてくださるんだ。恩義は返したい。」
「そう思うかい?ノラン。では我々には何が残る?この後に。」
ドメル将軍の名を出してきてまで、この
「一見筋は通ってそうだが実は下種な作戦」に意義を見出そうとした
「末っ子」に対して、姐は「あること」を問いかけることにした。

「正義も忠義も、ましてや恩義でさえも、どこまでが本当に正しいのか
分からないのだぞ?ノラン。お前にはどんな大義があるんだい?」

これだけ迷っているのだから、きっと答えに迷うだろう。
べリスはノランに対して、たかをくくっていた。

「やればできる子」彼女の、彼に対する評価であった。
「優しすぎるんだよ。これじゃ修羅場で生き残れない。」
今まで生き残ってきたのが不思議なくらい、「汚れ仕事」には
向いていない性格だった。その度に姐がフォローして、何とか
今に繋がってきたのだが。

「今度こそは覚悟しないと。」べリスが付け足そうとした、その時。

「姫様は、俺が護る。必ず護り通す。」

いつもはやや幼目で温和な後輩の表情が、いつになく厳しくなっていた。
「ノラン?」
「それが俺の、俺たちの、ザルツの矜持だから。」

「そうか…。ならば、安心だ。」
「え?何が?姐さん??」」
少なくとも、彼はずっと迷っていた。状況が変わるごとにひっくり返る
価値観や大義に対して、彼は常に懐疑的だった。ほかの隊員は
「そんなもの」と割り切って行動していたが、まだ若いゆえに純粋な
彼には、どうすればいいかが見えなかっただけだったのだろう。

民族の矜持。すべての行動規範。これさえ心に刻みつけてあれば、
迷わないだろう。後輩を見る姐の顔には、安どの表情が知らずのうちに
浮かんでいたのだった。

「さあ、食事の時間だ。食べておかないと。」
「姐さん、ミッション前だっていうのに、よく食欲なんか
湧きますね?俺なんか全然食欲ないですよ;」
神経質なところは相変わらずだな、と思いながらも。姐、
後輩に語ってみせる。

「食べられる時には何でも食べておくもんだ。食事も、チャンスも。」
後。…これは言わないでおくか。いずれわかるだろうしな。

おそらく、自分はその時にはこの世に居ないとは思うけど。
お前なら、大丈夫だ。

「姐さん、待ってくださいよー:」
姐のつぶやき。この時の彼には聞こえている由もなかった。

時に、作戦遂行直前の話。

   <終わり>

さてここから始まるかと思いますと。ではまた。

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