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「かけられた願い達は、かなえられるのを待っている」

1.
「そろそろ七夕の頃ね、地球では。」

始まりは新見女史の何気ない一言だった。

「とはいっても、遊星爆弾落とされてからは、そんなこと思い出す
余裕すらなくなったけど。さすがに笹、というか竹の枝は艦内
では無理、としても、それなりの飾り、っていうのかな。短冊
飾れたりする、らしいのが食堂とかにあってもいいかな、って
思うんですよ。」

「笹の枝位ならオムシスで作れるだろうし、どうせなら展望台に
飾る方が『らしくて』いいんじゃないか?新見君。」

「あら、先生にしては珍しい発言ですね。艦内時間で当日には、
ランチのデザートに七夕ゼリー、とかあればもっと雰囲気出るん
ですけどね。」

技術班トップ2のとりとめのない会話のはず、だったのが。

「ということで、船務長?『七夕飾り』は如何かしら?」

いきなりふられて驚く。敢えてそれには構わずに、新見一尉。
「この間の赤道祭に続いて、今度も私から艦長に提案、ていうのも
ね。ちょっと続きすぎるから。森一尉から提案してくださると
嬉しいんだけど。」

「それは、構いませんが。」確かに、この中の誰が先導とるかを
考えてみると、やはりそのあたりに落ち着くような。しかし
船務長、それに伴う新たな問題に悩んでいると。新見一尉、
見透かしたように。

「心配しなくていいわ。こちらでデータは提供するから。」

2.
間もなく。「七夕」を目前にして、展望台にはそれなりに
立派な「笹の葉」が飾られたのだが。

窓の外に広がる、漆黒の空間に浮かぶ恒星達の光を背景に
浮かび上がる「笹の葉」は、おそらくは地上のそれよりも
遥かに大きな存在感を示していた。

「こんなものでいいのかな。…どこまで飾ればいいんだろう?」
森船務長。非番の合間を縫って、七夕飾りやら何やらを
コツコツと準備していたのだが。

普通なら、七夕飾り位どこかで見かけたり、自分たちで作ったり
を何回も繰り返し経験するのだが。

何せ彼女としては、慰問で訪れていた児童施設に、その時期に
飾られていたのをちらと見た程度の記憶しかない。しかも、地上では
あらゆる物資が貴重になってたので、こういった紙類でさえも例外
ではなく。実際のところ、何をどこまでしておけばいいのか、こうして
現物を前に悩むことが多くなってきていたのだった。

「折角これだけの材料揃えてもらえたんだから、全部飾ったら?
その方が無駄にならないし、みんな喜ぶから。」
「古代君?!」
いつの間にか、同じく非番中の戦術長が。
「いつからここに居てたの、というか、見てたの?」
「割と前から、って言ったらどうするかな?」
戦術長、しれっと答える。船務長が次の言葉を言う前に、再び
先に言葉を続ける。
「手伝うよ、森君。俺結構こういうの慣れてるから。」

3.
「本当、早いんだ。古代君、だけじゃなくて男性ってこういうの
あまり興味ないと思ってたけど。」
決して少なくない量の七夕飾りのほとんどが、古代の手によって
綺麗に作られ、配置良く飾られていった。

「俺たち兄弟、星とか宇宙とかに関係するもの全部、大好きだった
から。こうやって毎年飾ってたんだ、兄さんが士官学校に入学するまではね。」
「そうなんだ。…羨ましいな、こういうことひとつにも思い出があるって。」

自分には過去一年の記憶しかない。日常業務には不自由はないものの、
こういった季節の行事にまつわる諸々になると、雪。「備蓄の無い」自分が
辛くない、というのは全くの嘘ではなかった。

「あとは短冊、なんだけど。…こよりっていうのがどうしても
作れないの。」本当はこんなこと、言いたくない。改めて、
「過去の無い自分」を思い知らされるだけだから。でも、少しでも
この人と繋がれる「思い出」が出来るのなら。そんな思いでつぶやくと。

「こより、ね?簡単だよ。こうやって、薄い紙を細く切って、親指と
人差し指とでこうして撚っていくんだ。」
古代。器用に二本の指で、きりきりと「こより」を撚っていく。
「こういうのも、兄さんが教えてくれたな、そういえば。俺も
最初は上手く出来なくて。失敗する度に指導されて。上手く出来たら
褒めてくれたっけ。」

本当に、この人は「お兄さん」の話になると止まらない。というか。
聞いているこちらも、嬉しくなるというか。
「お兄さん、本当に大事なんだ。」
その度に、思い知る事実。こんな風に思ってもらえて、大切に
してもらえて。自分もこんな風に思ってもらえることがある、と
いいんだけど。船務長、心の中で。

「そういえば。短冊の願い事って、何を書けばいいのかしら?」
これも、迷ってる。この状況なら、地球を元に戻せますように
とか、イスカンダルに着きたいとか書くべきなのだろうけど。
悩める船務長に対して、戦術長。かく答える。

「自分がこうなりたい、と思うことを書けばいいと思うよ。
願いってのは、自分のためにするものだと思うから。」
そして、こうも付け足した。
「ここは宇宙空間だから、雨降らないし。星も近いから、
願いがすごくかなえられそうな気がする、って、おかしい
かな?」

「大丈夫、おかしくない。私も、そう思うから。」
雪、答える。思いがつながるのはうれしいから。

4.
時なくして。
展望室には見事な「七夕飾り」が飾られることに。もちろん、
「各個人で自由にお書きください」ということで集まった
クルーの面々による、「短冊飾り」も多数。その中には
当然、船務長の手によるものも。

「あの人が、私のことを好きになってくれますように。」

    <終わり>

七夕企画、ということで短編。良くある話ですが、
進と雪の日常ネタ、ということで。何気に守兄も
何やら見え隠れしてますが;恐るべし兄貴w。

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