「宙に輝け、満開の花」#30.
回線を早くする工事をしました。ということは。
前の設定全部リセットになるわけです。いくら
「超簡単」と銘打ってあっても、慣れない身では
時間がない;やはり立ち上げまで込みで頼むべきだった
と改めて大後悔;。時は金なり、だしなあ。
「幼なき日々に見た夢が終わるとき・1」
「…今、何とおっしゃられました、博士?」
「だからリサ、異動だよ、君の。今の部署からの」
「何故です、博士?私は全く納得がいきません、
異動なんて!理由をお聞かせいただけますか?でないと
ただでさえ「寝耳に水」なのに、納得出来ません!!」
次期プロメテ計画要員育成計画プロジェクトチームと
して、期間限定で地球に一時「帰星」してきた、
ジャスダムチームの「第一艦橋組」に向けて。
最高責任者として向うに常駐している、大江戸博士からの
臨時通信入電と言うことで、該当する主要メンバーが緊急召集かけられた
際のこと。
名指しされたオペレータ嬢以外にも、その場に居合わせたもの
ほぼ全員が、この「いきなりの人事異動」に大きな衝撃を
受けていた。
「どこに異動になるっていうんですか?ここを預かる最高責任者
として、納得いく説明をしてもらえませんか、博士?!」
タクマ、ディスプレイの向こうの人物に対して、猛然と
訴える。
ここを預かっているのは自分である。ならば前もって自分にだけは
何某かの連絡くらいはあってしかるべきではないか。それとも、
まだそれだけの信頼に値しないというのか、「自分」という
人間は。
こんなことでは、自分はまだ、誰も守れないではないか?
様々な思いが交錯する間に、遥か彼方から返事がやってきた。
「前々から『プロメテ環境開発プロジェクトチーム』から
現場経験者をこちらによこしてくれ、と頼まれていたんだが、
こちらも事情があるので、返事を先延ばしにしてた。
が、いずれ向こうに配属されることになるであろう、新人の
花咲君をこちらで研修したのち、一緒にリサも現場経験がある
オペレータとして転属することに決まったところだ。」
大江戸博士からの、極めて真面な内容の返事。
「それにこの異動は、リサにとっても悪い話ではない。むしろ、
個人としての技量を認められて向かい入れられるのだから。
いつまでも私のもとにいては、身内びいきということで、
正当な評価をされないほうが、君にとっても不幸だと思うが。」
霧野嬢、改めて「身内」からの指摘に思う。
確かに、上層部の身内というだけで、自分に対して、陰で様々な物言い
がされてきたことを知らないわけではない。だがそれにいちいち
構うことなく、ただ仕事での成果を地道に上げ続けることで、
不当な評価を払拭してきた、つもりではあった。
もちろん、
『彼』のそばに常に居たい、という思いも多分にあったわけではあるが。
「もちろん、次回のプロメテ行きには差し支えることはない。」
一番の懸案に即効答えるように、返事が返ってくる。
だが、そのほかは?
「その場合は、リサは花咲君についてもらうことになる。彼女は
まだ新人で専門知識はあるが、まだ現場を知らない。そこで、経験のある
君に、彼女の補佐としてついてもらいたい。そのために、花咲君を
君のもとで研修させている。」
そんないきさつがあったなんて。
霧野嬢、複雑な感情にとらわれる。利用されたというか。
後輩である花咲との間は、最初こそ越えられない壁があったものの、
幾多のアクシデントを経てきた今では、パートナーとしての関係が
築かれつつある。
それが、前もってそうなるように仕組まれていたのだとしたら?
心の奥底の、一番深いところに、土足で踏み込まれたような。そんな
思いが、『怒り』となってふつふつと湧いてきた。
「では博士。プロメテ経験者である私に、花壇の水まきからしろ、
とこうおっしゃられるわけですね?」
<了。次回に続く>
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