「宙に輝け、満開の花」#24.
「嵐の前の夕凪・4」
この章は、一応ここで区切りがつくはず。それにしても、
ここまで長くなるとは思ってなかったです。(汗)これも
皆さん好き勝手に動かれるから。(お)
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「待て、って言ってるだろ?!話があるんだ!」
「待て、と言われて待つ奴はいねーよ!こっちも
事情ってもんがあるんだからな。凪、こっち来い!」
いきなり飛び出してきて秀人、後輩女子の手首を
掴んで、その場を駆け出した。
あたかもそれは、往年の名作映画「卒業」での、
『ジャスティン・ホフマンがキャサリン・ロスの
手を引いて、結婚式会場から逃走』を再現したかの
ような。
「先輩?!もしかして、私を庇って?」
「いいから!詳しい話は後だ!」
「おい秀人!何勝手なことしやがる!」
いきなり話に「割り込んで来て」、しかも「おしゃか」
にしようとしか思えない、相方の予想外の言動に、
思いがけず、声を荒げてしまうタクマ。
「タクマ!この場はあいつに任せておけ!
悔しいけど、今はあいつの方が俺達よりも『凪』の
事をよく分かってるんだからな!」
秀人の後を追おうとしたタクマの前を、伴太が阻む。
「離せ!どうしても聞かなきゃならないことがあるんだよ!」
一向におとなしくならない友人に、彼、仕方なく耳打ちする。
(いきなりリサをコケにされたのが悔しいのは判るけどよ。)
「え…と?」
不意を付かれて、一瞬戸惑ったタクマ。そこに間髪いれず、
「渦中の人」から問いかけられる。
「タクマ?観てたの?私のこと。」
しまった、と内心「舌打ち」したのは言うまでも無い。
当時、深夜たまたま「その後姿」を見かけただけで。
ただどうやら、当て推量で言ったのが、瓢箪から駒、と
いうことだったらしく。
さあ、どうしよう。この「お姫様」は、「楽屋落ち」を
激しく嫌がる。本当のことを言えば、それはそれで困惑
するだろうし。かといって、適当に誤魔化せるかといえば、
もともと勘の鋭い人なので、自爆するのがオチ、なのだが。
今回ばかりは、火中の栗を拾うしか。
「何ていうか、成り行きって言うか。…ほら、お約束
ってあるだろ?こうだったらドラマチックだな、とか
いう、あれだってば。」背中に冷たいものを感じつつ、
必死で話の流れを変えようとするタクマ。
「そう、…そうだったの。」
以外にも、お姫様はおとなしかった。もっと何か
言って来るかと予想してたのにも、関わらず。
密かにタクマが安堵しているのを気づくはずもなく、
霧野嬢。
「…でも、有難う。」
本当は、観ていて欲しかった。などという我侭は
おくびにも出さずに。
この一部始終を見ることになってしまったミヨコたち。
「…ねえ。凪お姉ちゃん、どうなるの?」
一瞬固まってしまった実兄に代わって、穂波、答える。
「大丈夫ですよ、きっと。」
あくまでも願望、ではあるが。
「先輩!どうして私をあの場から連れ出したんです?!
そんなことしたら、先輩の立場が」
「そんなもの、どうとでもなる!」秀人、もう少しで
阿鼻叫喚の修羅場になるところだった現場から後輩を
無理やり連れ出し、今は格納庫に。あくまでも人払い、
という意味合いだったが。
「リサのスキャンダルでも暴いたつもりだったんだろうが。
生憎と、先達組連中相手に、そんな言いがかりは一切
通用しない。お前達が想像もできないような土壇場
切り抜けてきた同志だからな。かえってお前の方が
やばくなってきただろうが?」
先輩の言うとおりだ。もう少しで詰む所だったのを、先輩が
「何故だか」助けてくださった。
「本当は、俺もお前には聞きたいことがあるんだが。どうやら
今はその時期じゃないようだしな?」
しまった。この人にも見抜かれている。そう気づいた、その時。
「凪ちゃん!…大丈夫?一体どうしたの?」
<了>
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この章は一応ここで〆ます。
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