「宙に輝け、満開の花」#20.
「嵐の前の夕凪・1」
とりあえず20回目まで来ました。継続は力、とは
よく言ったものと思いつつ。
ここまで来て何ですが、もしかしたらタクマと霧野嬢は
離れるのがお互いのためにいいのかも、と思うことが。
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8月も終わり、9月の声を聞くようになると、日中は
まだ残暑が厳しくても、朝夕は涼風を感じるように
なってきた頃。
基地の周りを囲んでいた、朝顔の「緑のカーテン」も、
夥しい数の種を残して、そのほとんどが黄色く枯れて
来た。
花咲、例によって勤務前に朝顔たちの後始末を
しながら、霧野嬢との会話。
「少し前は、まだこの時期も緑が綺麗だったそうなんです
けど。今はもたないですね。それだけ暑いってことなんだ
ろうと思いますけど。」
真夏日、という言葉で語られていた以前とは違い、今は
35度を越える気温の日を猛暑日、と呼ぶようになった。
それが、8月では当たり前になっている。さすがの朝顔も
暑い日差しと気温に力を振り絞ってしまうのだろう。
「温暖化が進んでるのね。…プロメテ移住計画が急がれる
訳だわ。」このままでは「地球」も、そこに住む生物達も
共倒れになりかねない。そうなる前に、「プロメテ」へ
移り住んで、少しでも「地球」の地力の回復を促す。
「あそこなら、そうすることが出来るはずだから。」
調査のために降り立った、惑星プロメテの美しい大地と
「人」の手が今だ入らない、文字通り「野生の自然」。
「そう言えば、先輩方はもう『行って来られて』るん
ですよね?」花咲、改めて。
「そう。手の付けられるところから調べてみたけど、
時間もそうだけど、全てに人手が足らないの。一日も
早く、『特別な人たち』だけでなく、一般の人たちも
移り住めるようにしないといけないから、貴方達も力に
なって欲しいわ。」霧野嬢、にこやかに、後輩に話かける。
「はい、勿論。…と言いたいのですが、私、力になってます
でしょうか?」花咲、先輩に問う。
「ええ。少なくとも、私は凄く心強いわ。」その言葉に、
花咲。
「有難うございます!」感激しつつ。
「技術科の穂波ちゃんや、航空科の凪ちゃんの凄い話を
聞くたびに、自分は大丈夫かな、って心配してたんです、
私。」
「凪ちゃん?航空科の新人って。…あの子のことね?
まだ会ったことはないけど、秀人君から、話は聞いてるわ。」
「やっぱりそうでしたか。…凪ちゃん、先輩達の
間でも話題なんだ。さすが。」花咲、先程とは打って変わった
明るい口調に。
「凪ちゃん、物凄くかっこいい子なんです。私なんか、最初
あんまりかっこいいんで、なんて素敵な男の子なんだろう、って
勘違いしましたから。」以前にも友人のいつきを、男子と思い
込んでいた過去のある花咲。今回も、航空科のスーツ姿の彼女を
観て、初めてその体の線から「彼女」であることを思い知らされた、
という。
「でも、凪ちゃんは気立ても良いし、優しいし。穂波ちゃんと
凪ちゃんにここで遭えて、本当に良かったです。」
表情まで明るく話す花咲に、何故か心から同意できない
霧野嬢。
「穂波さんはともかく、凪さん、ね…。」
松崎 凪。
秀人から、幾度となくその名前を聞かされていた、霧野嬢。
「とにかく、あいつ、新人女子!手に負えねーの!色々と!」
何でも、航空科つまりパイロット志望の新人達に、最初に
「挨拶」をしてみたところ。
一人だけ、最後まで食いついてきた機があった。そのパイロットが
女子だったという。
「もともとは海上救援やってたそうだから、そこそこ腕はあるん
だろうとは思ってたけど。」まさか並み居る男子達を押しのけて
教官の「挨拶」に唯一人、「応えて」来るとは思っても観なかった
らしい。
「こう言っちゃ失礼とは思うけど、何でアレで女なんだよ、
って言いたくなるんだ、あいつは!」とにかく、「規格外」
らしい。彼女は、何かにつけて、色々と。
だが、事あるごとに話題に出す「彼女」に対して。霧野嬢は
唯扱いかねて困っている以外にも、育ってくれている喜びを
感じている同僚に、少なからず居心地の悪さを感じていた
のであった。
秀人からだけでなく、花咲からまで。心の中にもやがかかる
ような気がしてきたとき。
花咲が切り出してきた。
「そういえば、凪ちゃん。今日やっと帰って来るんですよ。」
花咲曰く、彼女は遅くに夏休みをとっていたのだそうだが。
今日の天気。午後から荒れて、激しい雷雨の予報。
<続く>
第3の新人登場です。どうなる事やら。
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コメント
この記事へのコメントは終了しました。
こんにちは(^0^)/
やっと朝晩が涼しくなってきましたね。
花咲、穂波、凪、いつになくリサのまわりに女子が多くなってきて、リサもいろいろ自分の心との葛藤に…苦しんで;(凪ちゃんはきだても良いし優しいし穂波ちゃんと凪ちゃんにここで会えて‐)→あーこんな事言われたら、ムカついちゃうよ『じゃあ私はなんなの?私だけ居ればいいじゃない!他の2人がそんなに大事なの?』
――みたいな嫉妬、実は私事ですが、かなり今まで生きてきて経験しておりまする……
男性に対する嫉妬とはじぇーんじぇーん違うのよねー
凪が男性に見えるってー→ハンサムな女性って両性からかなりモテるから;
秀人の(とにかくあいつ新人女子!手に負えねーの)→本当は嬉しいくせに。
追記
遅くなりましたが20回おめでとうございますぅ♪
月並みですが、これからも頑張って頂けたらと思います。
投稿: GO!GO! | 2012年9月 8日 (土) 10時55分
こんにちわ。コメ有難うございます。
やっと朝晩がしのぎやすくなってきました。
>リサもいろいろ自分の心との葛藤に…苦しんで;
「紅一点」だと、こういうことはまずないですから。(何といっても「お姫様」ですからね。本編では「お姉さん」と言われてますが)でも、「等身大の自分」を知る上では大事ですから。
>男性に対する嫉妬とはじぇーんじぇーん違うのよねー
最近流行の「百合」と言われるもの、ですが、また違うような。ありますよね、これ、いくつになっても。女子ならば。
>本当は嬉しいくせに。
微笑ましい、と思わずに、
「自分以外の女の子の話しないでくれる?」な霧野さん。こういう「自分に正直な彼女」の方が、自分は好きなのですが。
>これからも頑張って
有難うございます。コメントあっての連載ですので。いつも心の支えにさせていただいております。
ではまた。
投稿: 由維 | 2012年9月 8日 (土) 17時06分