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「おおかみこどもの雨と雪」感想。

観に行ってきました。
「普通の女子大生が、『おおかみおとこ』と出会って、
二人の子どもを授かり、育てるお話」。こうやって
書いてみると、そんなに特異な物語ではない感がするのが
なんともw。

ここでは、ヒロインのご亭主=雨雪きょうだいのパパは
「ニホンオオカミの最後の末裔にて、人間と交わった
生き残り」だそうです。人外が人間の女性と子をなす
物語は、それこそ普通に良くある伝説だからにして。
だから、正確には「人狼」。

でも、昔から「危険な匂いのする男性」を「オオカミ」に
例えるのは古今東西よくある話でもあるので、やはりこう
言ったあたりからも、メタファーみたいに思えるのかも。

まあとにかく、少し前なら「紅い牙」シリーズとか
「闇のパープルアイ」のように、「特異体質」な彼らを
狙う悪の組織が登場し、闘って行く物語がデフォルトの
設定の上で、

淡々と日常生活を営まれていく姿

が細田監督の持ち味なのかもしれない。過去作である
「時かけ」然り、「SW」しかり。

「おおかみ」とのクオーターになる「おおかみこども」たちを
生む際に、「医療関係者の手を借りずに」夫婦だけで出産に
挑むとか、「特異体質」であることを知られないために、
健診の類を一切受けてないとか、病気になった際に
小児科か獣医か迷うとか、実際はかなり危険な行為でさえも、
そう思わせない、というのが。愛情、だけで語るとしたら
それはそれでなんと言うか。

もしかしたら、これはリアル「人狼一族の物語」なのではなく、
「人狼」になぞらえた、ある家族の物語というのが近いかも。

お姉ちゃんが「雪」で、弟くんが「雨」。
生まれた時は二人とも「おおかみこども」で、所謂「人狼」。
でもお母さんは、二人が「おおかみ」か「人間」か、
どちらか選べるように、生活の場所を田舎に移して。

小さい時は、雪の方がたくましくてやんちゃで、野生そのもの
だったの対して、雨は弱くておとなしくて、引っ込み事案。
…よく聞く話です。やんちゃな姉とおとなしい弟。男の子は、
小さいころは身体も弱くて、手がかかるそうだし。
(自分は娘だけなので;)お母さんがつい、雨が気になるのも
仕方なく。

成長するにしたがって、二人の個性が顕著に。雪は人間生活に
なじもうと、「二度とおおかみにならない」ことを誓い。
雨は不登校になりますが、その代わり、「山の主」たる狐に
「山に住む獣」として色々と教わるようになり。

姉と弟が「おおかみ」になって大喧嘩をしますが、このあたりも
あるよな、な話。体力とか体格とか、弟が「男」になって立場が
逆になってるのを思い知らされるあたりとか。リアルだと厳しい
から、「おおかみ」メタファー使うかと。

この後、雪は同級生の男子とのエピを見るに、いづれ彼らは
少なからず縁があると思われるし、雨は立派な「山の主」に
なるであろうと思われるし。

お母さんとしては、自分と同じ世界を選んだ娘以上に、険しい
道を選ぼうとしてる息子が心配。小さい時のことがあるだけに。

いづれにしても、二人とも、もう「自分の人生」を選んで、
生き始めてる。最初が物凄く厳しいスタートだっただけに、
この子達がここまで立派に育ったのが、物凄く嬉しくて。

ご都合、といえば、都会育ちのシングルマザーがいきなり
田舎にやってきてうまくやっていけるのかとか、いつの間にか
軽の四駆持っているとか、いろいろあるのですが。

観る人の立場によって、思うところはそれぞれある、というのが。

子育て中の母親さんなら、花さんの目で観るし。
小学生までの子さんなら、雪や雨の目で観るし。

最初は、ネグレクトと勘違いされるくらいな子育てと思われた
花さんと、息子が怪我させられたのに噛み付いた草平ママンと、
「母親としての立派さ」が最後はひっくり返るところがなんとも。

どんなに大変でも、二人の子供のために頑張った花さん。
再婚して、赤ちゃんが出来たとたんに、草平をほったらかした
(と思われても仕方ない)ママンと。

最初は最悪でも、いづれ草平は花雪母子にとって、「この家の男子」
になるであろう予感は大いに感じられて。
(草平は雪の秘密を知っている。花さんは草平の考えに感謝している)

この先にあるのは、恐らくは雪の物語、ですが、それは
観た人の想像にお任せして。

「おおかみ」というメタファーを借りて、「性」と「生」の
物語を作り上げたのかな、と思いました。センセーショナルな
方向ではなく、あくまで「日常」としての。

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