「宙に輝け、満開の花」#15.
この暑さで、うちの朝顔の葉はだんだん黄色っぽく
なってきてます;。「緑のカーテン」にするなら、それこそ
ヤマイモなんかを這わすほうが良いかと思ってしまったり。
でも、青地に白い縁の花は綺麗ですw。
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「天上の青の花・3」
「この間は悪かったな。俺がいない間に面倒なことに
巻き込んでしまって。」
「気にしないで。伴太君のせいじゃないんだから。
貴方のところの新人さんのお陰で、大事に至らなかった
のだし。」
事実は事実。気に入らなくても認めないと。霧野嬢、
心の中で自分に言い聞かせながら。
「でも、『緑のカーテン』の連中の仕業らしいんだろ?
あれは。俺、思い切り気に入らねえな、ああいうやり方は。
なんていうか、影でこそこそ、って言うのがな。」
「最小の労力にて最大の成果をあげる、というのかしら。
色々と『頭の切れる』人たちであることは確かよね。」
先日のハッキング事件。大事に至らず、と言うことで
内々に処分されたが、どうやら実行犯と政府上層部に
何らかの関係があるらしい、と言うことで、内々に
調査が始められた、と言う連絡を受け。
技術科の責任者である伴太のところに所用があり、
久々に彼の元を訪れた霧野嬢。先ごろの騒動の話など
一通りのやり取りを終えた、その頃。
「霧野先輩、いらっしゃったんですか。先日は失礼なことを
言って、すいませんでした!」
たまたま外から戻ってきた新人・雪城穂波が思い切り、
頭を下げる。
「穂波、まさかリサにとんでもないこと言ったんじゃねえだろうーな?
お前、時々あさってなこと言うからな。」
直属の上司として、伴太、穂波に問いただすも。
「大丈夫。気にしてないから。」
本当は、今でもちくり、と心の奥底を刺されているのだが、
そんな個人的感情を露にしたところで、人間関係を悪く
したくない。霧野嬢、「大人の判断」をしたところで。
「リサお姉ちゃん、お久しぶり!」
「…ミヨコちゃん?」
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「そうなの。で、今は穂波ちゃんに勉強見てもらってる
のね?」
「うん。本当は学校行かないといけないのに、ジャスダムの
プロメテ行きにもぐりこんじゃったから、その分遅れてるしね。
学校にはこっちでちゃんと行ってるよ。でも、分からないこと
あったら、穂波お姉ちゃんに教えてもらったりしてる。」
「それで最近、こちらに戻ってから余り逢わなくなったのね。」
以前は兄・伴太の元に足繁く通っており、その勢いみたいなもので
ジャスダムのプロメテ行に、、所謂「就学年齢児童」であるにも
関わらず、図らずも同行したミヨコであったが。
「こらミヨコ、穂波はお前の家庭教師じゃないんだぞ。俺の
元で仕事してるんだからな。」兄として、一応は注意する
伴太。
「分かってるよ、お兄ちゃん。前と違って、それくらいは。
…でも、穂波お姉ちゃん、凄く分かりやすいんだ。勉強
教えてくれるの。」
「伴太先輩、私、全然迷惑じゃありませんから。ミヨコさん、
叱らないでください。」穂波、ミヨコのフォローに入る。
「でも、穂波。お前、こちらと向うで、かなり仕事覚えてる
最中だろうが?こっちも兄貴と上司、両方の責任があるからな。」
「心配なさらないでください。ミヨコさんとのお勉強、凄く
楽しいんです。私も勉強になってます。ミヨコさん、熱心に
聞いてくださいますから。」
「へえ、そうなんだ。…ミヨコちゃん、暫く逢わない間に
すっかり『お姉さん』になったのね。」
霧野嬢、久しぶりに会う「同僚の妹」の成長ぶりに感心してる
と。
「だってあたし。…リサお姉ちゃんに謝らないといけないから。」
「謝るって?何を?」
まだ10代になるかならないかの、ほんの「女の子」の口から
跳び出した、彼女にそぐわない発言。霧野嬢でなくても
疑問に思うのは当然なのだが。
ごめん、ちょっと席外してくれたら嬉しいんだけど。同僚に
目配せして、霧野嬢。このただならぬ発言の真意を問いただす
ことに。
「あたし、タクマさんが好き、なんだけど、それは前からも
そうだったの。でも、タクマさんにはリサおねえちゃんがいて。
リサお姉ちゃんもタクマさんのこと、好きなの分かってから。
あたしの居る場所なんかない、リサお姉ちゃん、
実は嫌いだったの。…ごめんなさい。だから、わざと
お姉ちゃんのジャマになるようなこと、してた。」
「でもそれは、貴方がまだ小さかったから仕方のないこと
だと思うけど?」
突然の告白に戸惑いつつも、あくまで「お姉ちゃん」を装う
霧野嬢だったが。
「あたしもそう思ってた。けど、穂波お姉ちゃんと一緒に居て、
分かったの。穂波お姉ちゃんとだったら、凄く楽しい。穂波
お姉ちゃんも、あたしを喜んでくれてるのが分かる。こんな
こと、本当にごめんなさいだけど、リサお姉ちゃんのときは
そんなことなかったから。」やはりまだ「こども」である
ミヨコ。思いがけず半泣きになりそうになるのを、霧野嬢、
たしなめて。
「気にすることないわよ。貴方は今でもまだ、十分に
小さい子なんだから。よくある話。あなたは悪くない。」
いつもどおりの「優しい笑顔」でミヨコを慰めている、
はずだった。
はず、なのに。
心のざわつきが収まらない。成長するにつれて自我が
芽生え、「相性」が認識されるようになった、それだけ
のことなのに。
暗くて冷たい奈落の底に、心がひたすら堕ちて行くような、
底なしの不安に、じわじわと侵食を受けている、まるで
そこだけが「自分でない」ような。
「そうよ、悪いのはミヨコちゃんじゃなくて」
認識してはならない思いが、心の中に沸きあがって仕方がない。
押さえても、押さえても、湧き上がってくるのは。
「穂波!後から来た癖に!」」
<この章、了>
「好き」とか「嫌い」とか、初めて出てきた言葉な気がします。
ミヨコさん登場ですが、書いてる本人もサプライズだったという;。
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コメント
この記事へのコメントは終了しました。
こんにちは(^0^)/
毎日暑いですねー。うちにも朝顔たっぷり咲いてて、紫色が多いかな。
伴太さん兄妹登場!
ミヨコには私もびっくり:いやあ、素直にとてもおもしろかったです。
(あたしの居る場所なんかない、リサお姉ちゃん実は嫌いだったの、だからわざと)ひょえーっ、そうやったんかい!!
子供だからといって淡い恋心ですまされない、
子供だって実は〈女〉であることには違いないし、それが本能的に(邪魔)をして、この頃からミヨコって夜叉のような…1番誰より〈女〉かも…
(この間は悪かったなー俺がいない間に)
(穂波、まさかリサにとんでもないことーー、時々あさってな事言うからな)→リサ姉と穂波に対して、態度違いますよね。リサ姉と穂波が立場が逆転したとしても、どこまでも伴太さんは、いやほかのエースもそうだけど、リサ姉をお姫様みたいに接しないといけないところがあるわな、それが今回、そこの部分でいることが必ずしも居心地がいいとは感じられなくて…
穂波はちゃんと仕事ができて、でも、気を使わずタメ口がたたけて、人間関係において大事ですよね。
(穂波、後から来たくせに)(暗くて冷たい奈落の底に)→リサ姉も夜叉になってるわ;
ミヨコの発言と行動がドキドキしますよねー→このままいけば、サスペンス劇場かワイド劇場か?
この立場の時のリサの中の人の声はピッタリかも…
投稿: GO!GO! | 2012年7月28日 (土) 11時10分
こんにちわ。ほんと、暑いですね;。コメ有難うございます。
>ミヨコには私もびっくり
書いてる自分も驚きです。予定では彼女の登場は考えてなかったですし。こういうのも、「勝手に動き回ってくれる」なのかと。
>この頃からミヨコって夜叉のような
だって中の人はあの「スザナ様」@キャンディ×2ですからw。(これで全てが納得できるキャンディ世代)ジュディさんの中の人でもあることを思えば、なおさらかも。
話の都合上とはいえ、余りにも女子キャラ同士なのに、仲が良いとは思えなかったからなのですが。
(水着回など、特によく分かります。実は霧野さんがミヨコさんをどう思っているかが;)ミヨコさんもいつまでも「小さな子ども」ではない、ですし。
>リサ姉をお姫様みたいに接しないといけないところがあるわな
「リサはみんなのお姉さんみたいな存在だから」@秀人・告りまくりの回にて。本編でも秀人でさえ、そう言ってます。普通に
「大江戸博士の身内」=ボスのお嬢=姫
が鉄板になっていたのかも。
(例外はキャプテン・ダンでしたけど)
>そこの部分でいることが必ずしも居心地がいいとは感じられなくて…
これだけ女子が増えれば、そうなるのが自然と思ったり。
>リサ姉も夜叉になってるわ;
自分の「心の闇」と向かい合うのも、成長としては大事ですしね…。作者的には、こういう「黒い」彼女の方が好きなのですが。
>このままいけば、サスペンス劇場かワイド劇場か?
実はホラーを目指して…誰か来た様でw。
ではまた。
投稿: 由維 | 2012年7月28日 (土) 15時07分