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「宙に輝け、満開の花」#9.

同じ時間を共有する、と言うことは必ずしも同じ
思いである必要はどこにもなくて。1.

同人黄金期wを振り返る趣旨のブログ、久しぶりにはまり
ましたwww。そういえば当時は物凄く装丁というか、
「本そのもののデザイン」が素晴しかったようなw。
(箔押しとか紙替えとか小説二色刷りとか)
やっぱり、ネット前と後では世界が変わったんだろうな。
(遠い目)では、本編です。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「先輩、今日までのノルマだった分、データ集積
終わりました。」
「有難う、花咲さん。貴女が来てくれてから、随分
処理が進んで。本当、助かってるの。どちらかと言うと、
私は植物学は専門ではなかったから。」
「そんなことないです。先輩が過去のデータを系統立てて
集積してくださっていたから、私のような新人にでも
後の作業がスムーズに出来たんですから。」

オペレータ室にて。新人である花咲嬢と、初めての
直属の部下が出来た霧野嬢が、膨大な作業の合間に
息抜きを兼ねて、雑談をしている。もちろん、普段は
これくらいの時間をとるのも難しいくらい、忙殺されている
のであるが。

そもそも、随時現地から、規模からして地球と同じくらいである
「プロメテ」の全地表の気象・植生データが、その他の情報と
ともに送られてきているのである。

どの地域には、どのような植物が見られ、果たしてそれは
どのように利用出来うるのか、とか、地球から種子を持ち込んで
生産させることが出来るのか、現地の生態系を破壊せずに、
「テラフォーミング」出来るのかなど、とにかくそれだけでも
慣れたオペレータの手によっても、データベース化するのに
多大な時間がかかりそうな代物ではあったが。

現地調査とともに移民計画が同時進行してる現在、あらゆる手段を
講じても、それらの課題に応えるべく備えておくという、かなり
荒唐無稽な理想を、出来うる限り実現せしめたのは、須らく
この一見大人しめな外見の新人が持つ、年に似合わない広大且つ
深遠な知識量と、実務能力の賜物であることは否定できない。

「面接の時、真顔で『あんなこと』言うものだから、どれだけ
『お花畑さん』かと思ってたけど。成績だけのことはある娘なん
だわ。」リサ、『あんなこと』の真意をさりげなく聞いてみる。

「ねえ花咲さん。どうして面接の時に
『宇宙に満開の花を咲かせたい』、なんて言ったの?
貴女ほどの成績と研究実績を持つ人が、いきなり昔話の
『花咲爺さん』みたいに言うなんて。」
「そういえば、『花咲爺さん』ですね。本当に。」
にっこり笑いながら、花咲嬢、話を続ける。

「宇宙を目指すまでに、志半ばで亡くなった人たちの
思いを慰めるのに、『満開の花』を咲かせたいんです。」
彼女には彼女なりに、そう言わしめるだけの「常人ならざる」
体験をしてきた上での、れっきとした動機だったのだが。

そんなことは露とも知らない先輩嬢にとっては、いきなり
個人的な領域に土足で踏み込まれたような、不快感にも似た
感情を抱かざるを得なかった。
「まるで見てきたように言うのね?」
その言葉には、日頃の彼女からは想像もつかないような
冷徹な棘が見え隠れするようだった。

微妙に不穏な空気を感じた花咲嬢。まずは矛先をかわそうと。
「そうですか?ちょっと風呂敷広げてますけど、夢は
大きく持ちたいと思って。」
「夢なんかで軽々しく『宇宙で志半ばで亡くなった人達』を
引き合いに出さないで欲しいわね。貴女方は安全なところで
ぬくぬく暮らしていたくせに!。」

思わぬところで、きつい口調であたってしまった。彼女が
悪いわけではない。だがしかし、現に夥しい人数の
「志半ばで諦めざるを得なかった人たち」に接してきた
リサにとっては、すんなりと受け流せるものではなかったのである。

「…そうでした。すいません。」
どうやら先輩の『逆鱗』に触れてしまったらしい、と感づいた
花咲嬢、まずは謝罪をする。話題を振ってきたのは、明らかに
向うなのだが、仕方がない。

「あ…、ごめんなさい。こんなこと、貴女に言っても仕方ないのに。
時間取っちゃったわね。続き、始めましょうか。」
先輩、まずは話題をそらす。これ以上関わると、心の奥底に
隠されていた「本音」に気づいてしまいそうだったから。

彼らと時間を共有してたのは、私たちなの。例え敵味方に
分かれていても。貴方達新人チームじゃない。知ったかぶり
しないで。私達の『聖域』に入らないで!
…心の奥底で、密かに叫びそうになる声を押し殺して。

     <続く>

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二次創作」カテゴリの記事

コメント

こんにちは(^0^)/

本編ではほとんど見られない女子同志の会話だ;

(この一見大人しめな外見の新人が持つ、年に似合わない広大かつ深達な知識量と‐)→2人の知識と行動力とリサの経験と合わせたら、そりゃできるできる。自分も昔、先輩の女性とペア組んで仕事したこと思い出しましたよ。

(宇宙を目指すまでに志半ばで亡くなった人たちの思いを慰めるのに満開の花を咲かせたい)(いきなり個人的な領域に土足で‐)→そりゃリサがしょって生きてるもん、考えたら、ちょい軽い言動かもね。でも花咲、よう言うた!かまんかまん。この会話でリサに対する接しかたがこれから先どうしたらいいかわかったはず。


(あなたは安全なところでぬくぬく暮らしていたくせに‐)→リサ、こぇーよー。(彼らと時間を共有してきたのは私たち)→なんかヒロインをいじめる意地悪な脇役に化してますね…
本編に無いリサの新しい性質が出て個人的にはこの方向性でどんどんいって頂きたいのですが…;でも第1回めのタクマに接する姉さん態度は、将来のリサを物語る何かを感じますが:

宇宙に満開の花より、このリサの心情からして花嵐がふぶきそう。

こんにちわ。コメ有難うございます。今週も無事にアップできたので、一段落です…って、連載作家さんみたいだw。

>本編ではほとんど見られない女子同志の会話
 もともと女子の数そのものが;。あっても何気に殺伐としてましたしね。

>自分も昔、先輩の女性とペア組んで仕事したこと思い出しましたよ。
 これが男子同士でしたら今流行の「虎兎」なわけですが。社会人ならではの共有体験ですw。

>そりゃリサがしょって生きてるもん、考えたら、ちょい軽い言動
 まさかここで「伝説の魔法少女戦士やってました。」と暴露しても(汗)ですしね。最初はさけられないですしね;。>地雷。

>本編に無いリサの新しい性質が出て
 だってー、本編はあくまで「タクマの目線で見た皆さん」なわけですから。カメラワークのないところではどんなだったのかを考えるのが結構面白かったりします。ラストはハッピーエンドめざしてるのですが、これでもw。

>花嵐がふぶきそう
 どうしようw。まさにそのとおりですw。嵐というか、竜巻というか。他にも新人居ることですし。

ではまた。

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