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「奈落の青、飛び越えて」(前編)

ハーケン生存ルート編、そろそろここで落ち付かせたいな、
と思いながら。タイトルはアクエリオンOPより。
「出会えるか、どうか」と言うところが共通点かも。

1.
「で、機会あらば、と伺っているわけだよ、あの
きかん気姫さんは。」
「随分と入れ込んだものだな、また。…まあ、分からない
訳でもないけど。」
「でも実際は、『若い女の子が単身』そんなところへ赴く訳
にはいかないからね。これだけ急に人員が、特に男が増えた
ところへ。」
「本人は、『女の子扱いしないで!』とそのたびにむくれてる
けど。実際考えられるトラブル要因は、出来るだけ前もって
排除すべき、というのがこういう場合の大前提でもあるからな。」

ジャスダムのエース2人の、いわゆる雑談。もちろん、
渦中の「お姫様」のいないところにて。

トニー・ハーケン生存。というか、自死しかけていたところを
かなり強引に連れて帰ってきた、というのが正しいのだが。

流石に「総統閣下」についで実質ナンバー2であった彼については
「全くのお咎めなし」というわけにはいかず。かといって、
それなりには頭数の要る「残存組」を統率するには、やはり
「カリスマ」の存在は必須なわけで。

今のトニーは、ジャスダム上層部(というのだろうか)
預かりの身の上。本来ならそれ相応の司法処置が取られる
はずなのだが、いかんせん「未成年」ということもあり。
その身の上には「超法規的措置」が適応されるであろう
ことが、暗黙の了解となりつつあった。

すなわち、これから引き受けてもらうはずの、数多雑多の
業務遂行と引き換えの、身柄の解放。そうなれば、彼個人
との私的接触は、かなり厳しくなる。今でも面会はかなり
限られているのではあるが。

それを知って知らずか、ブリッジのオペレータ嬢は、
このところ随分と落ち着きをなくしているように見受けられる。

指し当たって、当面の危機はないせいもあるが。
「彼」の動向に対して、かなり神経質になっているのが
贔屓目に見ても明らか、というか。

始めのうちは、折角の好機を奪ってしまった、という負い目から
(それでも、あのような状態で若い女の子の姿を、自分以外の
男連中の目にさらすというのは、到底我慢できなかったのであるが)
彼女のそんな様子を大目にも見ていたが。

自分以外の異性に対して、あからさまに気になるそぶりを隠さない、
という、「幼なじみにして同僚」であり、なおかつ
「友達以上、恋人未満」という微妙な存在になりつつある彼女の
態度に、次第に苛立ちを隠せなくなってきた、というのは
あながち嘘ではなくて。

「流石に『海より大きな心を持つ』一文字タクマ様も
ここらが我慢の潮時、ってところかい?それとも
『堪忍袋の緒が切れた』というか?」半ば嬉しそうに
相方をあえてからかう秀人。

「そんなに嬉しいか?人の機嫌が良くないのが。」
思わず本音を洩らしてしまうタクマ。
「人の不幸は、何とやらというからねえ。いや、
お前もやっと『人並み』に気にするようになったかと
思って。」

「人並み、ねえ。」確かにその通りかもしれない。というか、
もしかしなくても、
「気になる相手から、常に気にかけられている状態」が
尋常でないことに、今更ながら気づかされた次第だという。
「これで、少しはこちらの立場も分かればな。」
心の中で、つぶやく秀人。流石にこれは聞かれたくないらしく。
声には出さなかったが。

2.
「では、タクマは、今度の懸案はリサ一人に任せるべきだと」
「ええ。そのほうが埒が明くでしょう。今のままでは
いずれ彼女のことですから、一人で単独行動取らないとも
限らないし。そのほうが危険ではないかと。」
良く言えば、「忍耐強い」のかもしれないが、悪く言えば
「諦めが悪い」とも言う、彼女の性分に、今回ばかりは
大江戸博士も手を焼いていたらしく。
「万が一の時のフォローなら、自分が絶対に引き受けますから。」
という、タクマのたっての要望で、オペレータ嬢に、直に
ハーケンに逢わなければいけない懸案を要請することとなった。

もちろん、そのときの彼女の様子はといえば、待ち人に会える
嬉しさを隠そうともせず。
普段は軽率な言動、というものを滅多にしないゆえに、その落差が
いっそうのこと、タクマの苛立ちを助長することと相成っていた。

そして、懸案当日。
タクマ、必要書類などを抱えて、かの人のところへ赴かんとする彼女を
呼び止める。
「これ、持ってろ。御守代わりというか、そういうの。」
見た目は華奢な姿のネックレスのようなもの。
「一体、どういう風の吹き回しかしらね?別に御守なんてなくて
大丈夫だけど?何も取って食われるわけじゃないんだから。
本当、変なところで心配性なんだから。」
「何とでも言え。」両手が塞がっている彼女の代わりに、先ほどの
装飾品を首にかけて。

「出来れば、『あれ』が使われることのないのを、祈るばかりだけど。」
遠ざかる、彼女の後姿を見送りつつも、払拭し切れない不安を感じる
タクマだった。

3.
「…では、本部からの伝達事項は以上です。」
リサ、無事に「懸案」を伝えたそのあとで。
「あの、ハーケン…さん?私、貴方にどうしても
伝えたいことがあって。その…
 
…あり…が…とう…。」

突然の感謝の言葉に、思わず怪訝な表情を浮かべたトニー。
何故この人に、自分は「そんな事」を言われるのだろうか?と。

「理由は分からないけど、あの時、貴方は私を助けてくれたから。
その…貴方、という人を誤解してたから、それだけでも謝って
おきたかったのと、してくれた行為に対する御礼だけは言って
おきたかったから。」
リサ、一気にまくし立てる。相手に対する怯えが、多少たりとも
あるらしく。

不意打ちに驚いたのは、実はトニーのほうだった。
まさか、「ママによく似た人」から感謝だの、誤解を解くだの
という言葉を言われるとは。

本当なら、言葉だけで十分だった。だが、彼は。それ以上に
彼女の真意を問い正すことを選んだ。

でなければ、自分は彼女を不幸にするかもしれないから。
それだけは、回避しなければならず。敢えて、問うことに。

「口だけでなら、何とでも言えるからな。では、貴方は
私に対して、どう感謝の意を表してくださるのか?」

    <前半了。後半に続く>
大体落ちは読めそうな感じではありますが。やはり前後編に
なるかな、です。

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コメント

こんにちはo(^-^)o

〔奈落の青‐〕題名までハーケン生存の内容がただよいます(^o^)

タクマのたっての要望で懸案をリサに任せるようなところはタクマの性質そのもので、でも苛立つータクマ;懸案を任されたリサは嬉しそうな様子で;タクマとリサの性格をよく表してるなー、と。

今までタクマはノエルやのフリーゼやのと、やってきたんだから、リサも、ちーと、やっちゃれやっちゃれぇー♪♪
(以外と逆の立場になるとリサよりタクマのほーがかなり苛立つんかもねー)


リサがトニーに(ありがとう、貴方を誤解してた…)やったやった!やった!
私も30数年、トニーがリサから、そこのところの部分を言われたらどんなにいいだろうかーって思ってたんだぁ…こんな会話、今までトニー無かったに等しいやろー、軍事的以外の人間らしい会話なんて初めてなのでは?
懸案の仕事がリサで内心トニーもきっとニヤケてることでしょー。
なのになのになのに
トニーは(どう、感謝の意を表して下さるのか)下さるてて…敬語ですがなんかやっぱり上から目線のよーだわ、
えーっえーっ!リサの言葉では満足できなくて、感謝の意を行動で表せろって事ぉ?!♀なんか惹かれますが…
(大体おちは読めそう)
あーぜーんぜん読めません。またまた自分のホルモン上昇だけはわかります;

秀人はやっぱり秀人らしい行動でした(^o^)
なぜか、どの中の人より秀人の中の人の声が脳みそのなかで再現しやすいのですが。

(未成年、超法的処置、彼個人との私的接触はかなり厳しく)→押さえるところは押さえてますねぇ、話しに深みが出ます。

クッーまだ前半だわだわ♪

こんにちわ。いつもコメ有難うございます。happy01
>題名までハーケン生存の内容がただよいます
躍動感出したかったというか。今回の作品イメージはまるっと「アクエリオンEVOL」OPからかなり来てます。

今回は、トニーさんに言わせたい一言にたどり着くまでのお話だったりします。無事に到着するまで頑張らないとw。

>どの中の人より秀人の中の人の声が脳みそのなかで再現しやすいのですが。
 自分もそうだったりしますw。というか、彼はすっかり「常識人としてツッコム担当」となてますのでw

さて後半。どうなるかなあ。(おい)

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