「百万光年の彼方~宙に輝け、満開の花より」
「織姫と彦星ね。…こと座のべガと鷲座のアルタイルを
例えてるあれ、だな。」
「あれだけの恒星が地球時間で言うところの
『一晩』で接触したら、物凄いことになりそうなんだけれど。」
「フィクションと現実を一緒にするのもどうかと思うけど?
「本当に『天の川』を渡ってきたようなものだから、自分達。」
七月七日は「七夕」。第一次惑星プロメテ調査の旅を終えて、地上に
「一時帰還」しているジャスダム基地でも、この「伝統的な」
季節行事の準備で賑わっていた。来るべき「第二次調査」の際に
「星に願いを届けよう」という企画で、全世界の子ども達から
インターネットなどで寄せられた「将来の夢や希望」などを
短冊に書き起こし、笹に飾り付けていた。
「織姫星」や「牽牛星」の正体はさておき、「天の川」が実は
「銀河」と呼ばれる、太陽系を含む星の集まりであることなど、
まだ分かるはずも無い太古の時代から伝えられる伝説と、それに
まつわる行事。とはいえ、一年の季節の流れに即した歳時でも
あるため、それなりに飾り付けをしていたのだが。
今回は、「花咲博士の植物園」から、昔のものとほぼ等しい
質の良い「笹」を大量入手できたとあって、例年以上に
大量の短冊がかけられることとなった。
これはすなわち、
「大量の『願い』」がかけられたのと同じ訳であり。クルー
総出で「短冊」をかける作業にあたっていた。
「これだけ沢山の『願い』がかけられるって、凄いですね」
今年初参加の花咲さん。テンション高めにはしゃぎ気味。
「いつものことだけど、今年は特に多いかな。
『還って来た』後だから。」エースその1・談。
「それだけ『皆』の期待が大きいんだよ。だから、
『早くプロメテに行きたい』っていうの、凄く
増えてるし。…元から多いけれど。」エースその2・談。
「でも、『なりたいものになれますように』っていうのも
子どもの夢ですから。」新人さん、にこやかに。
「恋愛成就、ってのも定番ね。特に女の子にとっては。」
姉、事も無げに。
「遠く離れた恋人達が、約束の日に出会えますように。
七夕の頃って、雨が多いから、結構リアルなのよね、
こういうところ。自分に置き換えて観てしまうって
いうか。」
この人でも、こんなことを言うんだ。新人さん、やや
内心驚いて。常時「恋人」といるように見受けられる
環境に居られる様なのに?
「心が繋がっていれば、たとえ100万光年離れていても、
心細くないけど。」姉、やや小声でつぶやくように。
いぶかしく思う新人さん。何故この人は、このような
不穏な物言いをしているのだろう?
心が繋がっていない。
今、その状態にあるとでも?では誰と?
そういえば、時々この人の表情に「翳り」が
見えるような気が。何故だろう?思い当たる理由が
見つからないが、
それでもこの人は、何かを抱えている。自分自身では
気付いていないようだけれども。
「本当のところ天の川は星の影で、流れ星は宇宙の塵、
なのにね。そういうものにさえ、願いをかけようとしてる
私達って。」
やはり、どこかが不安定なのではないか?新人さん、
思い切る。
「どんなものにだろうと、かけられた願いたちは、
叶えられるのを待ってます。これだけは間違いないと
思います!。」
心が繋がりますように。恐らくは、それがこの人の、
心の奥底にある「願い」。きっと『かの人』と、で
あろうけれども。
姉、思い直して。
「そうね。皆の『願い』、叶えるお手伝いをしないとね。」
そうすれば、自分の『願い』も適う。そう信じよう。
再び、いつもの表情に戻った姉を見やりつつ。力及ばずとも、
出来る限りのことを、姉にしたいと思う新人さんだった。
(終)
七夕なので、久々に書き起こしました。一人称が分かりにくい
かもしれませんが。いずれこんな感じで話進めたいな、と思い
まして。本編は、近々再興する予定です。
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コメント
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七夕の日の姉…
なぜかノエルとタクマを思い出しました;(この回クリスマスなのに)
タクマがジャスダムに帰ってみんなにノエルの事を話してると、大江戸博士が
「リサは見てないと」その時のリサの後ろ姿のシーン←うまい表現だなと;
悲しげで淋しげで…
このあたり何やら七夕の姉の様子に繋がった感じがしました。本当のところは、どんな真相でどんな展開になるんかな〜(^O^)ドキドキもんですぅ
クルーの皆様、きっと復興の願いもたくさん短冊をかかげたことでしょう。
七夕に託して。
投稿: GO!GO! | 2011年7月 7日 (木) 12時52分
七夕ネタへのレス、ありがとうございました。
「七夕」はクリスマス以上に恋愛イベントがつきものですし。
(最近は『サマーバレンタイン』とか。結婚式も夏場にしてはかなり多いらしいです。>七夕の頃)
「あえて表情を見せない」演出ですが、ハーケンがジャスダムの皆さんと共闘せざるを得なかった回のときも、同じ手法だったような。
(リサは、決してハーケンの方を振り向かなかった、あれです。)
子ども的には、結構あーだこーだと考えてた覚えがありましたw。大人になっても、いろんな解釈してしまいますが;。
本編ですが、「収まるところに収まる」様な話にしたいな、と考えてます。(おい)なかなかのんびりやってるのがあれですが;。
ではまた。
投稿: 由維 | 2011年7月 7日 (木) 23時06分