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「宙に輝け、満開の花」#1.

さて、二次創作です。
「花咲さんが宇宙を目指してプロメテ計画のメンバーに
なる」という設定です。ちなみに、彼女の年齢は20歳ごろ。
兄さん姉さんたちは22歳くらいかと。

無事にラストまでいけますようにw。

「宙に輝け、満開の花」

プロローグ。

「いらっしゃいませ…うわ」
花咲つぼみが店番をしている
「フラワーショップHANASAKI」に「彼」がその姿を見せたのは、
まだ春も浅い、休日の昼下がりだった。
「サテライザーを操縦してるって言う、あの人
…一文字タクマ!」

惑星プロメテ調査隊が、最初にかの地を踏んでから
しばらく。報告やその他の目的もあって地球に帰還
してきたという。そのマスコミの騒ぎたるや。

さまざまな環境・人口問題の極めて有効な対策として
「惑星移民」を唱えてきた政府である。その第一陣である
調査部隊が帰ってきた。もちろん、本来ならば「かの地」に
本部を設置し、こちら側から必要な人材や機材を送るべき
なのだが。

今後のために、新たな人材を補給する。そのための
一時帰還と相成ったという。

もちろん、有史以来の快挙をなしたクルー達を、マスコミが
放っておくわけもなく。開発チームの中枢はもとより、
中心的な役割を担った若手のパイロット達などはさながら
アイドルのごときはやされぶりであった。

だが、当の本人達はこの騒ぎが嫌いらしく、ほとんどの取材を
断っていたのだが、
「これからの子ども達のために」最小限取材に応じていたので、
一応顔と名前だけはほぼ全世界的に有名となっていた。

「あの人が、このお店に来るなんて!」
驚き、というものでは済まされなかった。今や、
世界中の人たちの羨望の的となっている、「彼ら」
が、店の客人となって、自分の目の前に居る。

「花を贈りたいんだけど。詳しくないから、本当、
何も判らなくて。色々と教えて欲しいんだけど。」
花は、詳しくないから。まあ、妥当だろう。この年頃の
男性としては、真っ当な物言いかも。

「ご予算は、どのくらいですか?」
これも然り。まずはこれが判らないと始まらないし。
それにしても、こういう現実的な話をまず最初に
しないといけないとは。判っていても残念だと思う。

昔から、ある程度の品質の花卉は、それなりの値段が
付いており。それに輪をかけて、現在の異常気象のご時勢
である。

季節の境界がすっかりあいまいになっている昨今、もはや
温室ではなく、花卉栽培は完全に人工照明の下の元でしか
営まれない、工業製品と化していた。

それならば顧客のニーズにこたえるべく、いつでも希望の
花卉を揃えてあるのかといえば、以外にもそうではなく。

「季節には、季節に合ったものを」求める客がそれでも
ほとんどであるため、そういった品揃えになっている。
花卉だけでも「季節」を感じたい。せめてもの
願いが、こんなところにも表れている。
それらのこともあり、昔以上に花卉は「高級品」になって
いるのだが。

「…多分、大丈夫だと思うから」
そもそも、国際公務員、という言葉があるとしたら
まさしくそういう立場である「彼」に、こういうことを
聞くだけ野暮だったが。

「どなたに、贈られますか?」プライバシーに踏み込みそうだが、
これも大事な情報である。聞かざるを得なく。

「若い女性。」
「どのような内容で贈られますか?」
「記念日、というか…。何というか…。」
やや困ったような表情。どう説明したらいいだろう、
そんな感じ。でも、決して嫌ではなく。

これを渡されたら、どんな風に喜んでくれるだろう?
きっと、凄く綺麗な笑顔を見せてくれるに違いない、
と、想像している、かのような。

「こんなに優しい表情をする人なんだ。」つぼみは
「彼」に対して、新たな驚きを感じていた。

きっと、大切な人なのだろう。恐らくは、恋人とか。
でなければ、こんなに真剣に、

「どの花を選べば、一番喜んでくれるか」などと悩まないで
あろうし。

「向日葵とかは…。ごめん、さすがに季節外れだな。」

「冬」に「寒さ」がなくなって久しい昨今。暦では
春の初めであるとはいえ、さすがに「夏」を体現する
花である「向日葵」は、かえって季節の曖昧さを思い知らされる
ものであり、歓迎されざるものである。しかし。

そういえば、昔、同じようなお客さんがいたっけ。
あの時は可愛い女の子だったけど。
そのときのことを思い出しながら、つぼみは「彼」に
説明した。

「向日葵は、昔以上に季節に拘られるお客様が多くて。
さすがに今はまだ早いです。でも、その代わりといっては
何ですが。」お勧めを切り出そうとしたとき。

「へえ…。チューリップって、こんなに綺麗なんだ。」
色とりどりに並ぶ、チューリップの数々。本来の季節的には
まだ早いが、季節少し先取りが基本の花屋では、今の時期の
メインは、もっぱらこの「春の使者」であり。

「そうです。綺麗でしょ、この子達。色だけじゃなくて、
花の形だって、一重だけでなくて、八重咲きとか、それこそ
薔薇や牡丹みたいに豪華なものもありますから。」

この花屋は、実は他の店より圧倒的に品数が多い。いわゆる
「自家工場」的なことをしているせい、だが実は。
今では絶滅してしまった「種」の保存もしているのである。
これは、元植物学者であった父親と、その方面では世界的
権威的存在であった祖母・薫子の研究の成果でもあった。

「一人娘のメンタルを重く見て」研究の第一線から遠ざかった
花咲教授であったが、それでも店舗兼住宅であるフラワーショップ
に併設された「ミニ植物園」には、今では露地栽培では繁殖不可能と
なった諸々の植物の姿がある。これもまた、教授の地道ではあるが、
貴重な活動が実を結んだものであった。

「さすが、花咲博士だな。」小さくつぶやかれた言葉。
「え?おばあちゃんを知っているんだ、この人。」
祖母・薫子が「プロメテ計画」に多少は関係していたことを、
つぼみは一応は聞かされていたが、それでも目の前の
「当事者」から祖母の名前を聞くと、事の重大さに
ただ感嘆するしかなくなってくる。

「どれも皆綺麗だから、あるだけの色、花束にして欲しいん
だけど。…おかしくなるかな?」
「大丈夫です!沢山あればあるほど、賑やかで華やかに
なりますからw。チューリップは、形がシンプルだから
色が沢山あっても綺麗にまとまるんですっ。」

やっぱり、恋人さんに贈るものなんだ。思い切り、頑張らなくちゃ。
だって、チューリップの「花言葉」はほとんどが「愛」なんだから。
つぼみ、ここであることに気づく。

「白と黄色は一緒にしたくないな…。」
「白いチューリップ」の花言葉は「失恋」
「黄色」のそれは、「見込みの無い恋」

ヴィジュアルとしては、いい「さし色」になるけれども、
「花言葉」を知っているものとしては、何気に避けたくあり。
何気なく、この二色だけは入れないで居よう、としていたら。

「白と黄色もお願いできる?凄く綺麗だから。」

先手を打たれる;。お客様の需要にこたえるのが
店側の勤めである以上、オーダーに逆らうことは出来ず。

「はい、分かりました。」出来るだけの笑顔を返しながら、
しかるべき包装をしていた、そのとき。

「もし、何か言われとかがあるんだったら、そんなの一切
気にしていないから。」

唖然。一瞬ではあったが、またもや先を越される。思わず
「彼」と目が合ったつぼみ。もしかして、先を読まれてる?
「…有難う、ございますっ!」思わず作業を急いで、動揺を
ごまかすつぼみ。

それにしても、こんなに思われている、この人の「恋人」って
どんな人だろう?同じ女性として、羨ましくて。

結局、総勢50本ほどで、両手で抱えないといけないほどの大所帯に
なった、チューリップの花束を抱えて、「彼」は店を後にした。

「これを見たら、どんな顔するかな?」恐らくはこれ以上無いほどの
優しい表情をしていた、「彼」。つぼみは、別の意味で驚いていた。

「明日から、あの人が居るところで働くことになるんだ…!」

ジャスダム第二期クルーであり、プロメテ植生改良プロジェクト
第一期メンバー。つぼみの明日からの役職である。今日は
「学生最後の休み」ということで店の手伝いをしていたのだが。
彼女にとっては、とんでもないサプライズとなった。

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・

「わあ、綺麗!こんなに沢山のチューリップが、まだ
『ここ』にあったなんて!」
思っていた以上のサプライズ。贈られた「彼女」は
「かつて」と同じ、華やかな笑顔で、好意に報いてくれた。
ジャスダムチームの紅一点・霧野リサ。

「…で、どうでした?新しいクルーになるはずの、
『植物学者・花咲つぼみ』先生は?」
「え?そんなつもり、無いけど・・・。」
「相変わらず、誤魔化すのが上手くないわねw。
今時、こんな見事な『花』があるところなんて、
あの「花咲植物研究所」のほかにどこがあるって
いうのかしら?」

図星、である。自分達の新しい仲間になるという、
経歴の割には、かなり歳若い「彼女」がどのような
人物か。偵察も兼ねていた、というよりは。

そういう人なら、どんな「花」を選んでくれるのだろうか。

それが一番の理由ではあったが。

「でも、有難う。嬉しいわ。さて、どこに飾ろうかしら、
こんなに沢山のチューリップ。まずは花瓶から探さないとね。」
そう言って、大きな花束を抱えて艦橋から出て行く彼女の後姿を
見送りながら。

久しぶりに見る、彼女の華やいだ笑顔。
きっかけを作ってくれたのは、あの花束。それを造った
「花咲つぼみ」なら。

「きっかけ」を作ることが出来るかも知れないと。

「明日、来るんだよな、…あのお嬢ちゃんは。」
「タクマ、貴方も手伝って!」
「あー、分かったよ、今行くから!」

それは、つぼみがジャスダムにやってくる、ほんの前日の
出来事だった。

(プロローグ、了)

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