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「宙に輝け、満開の花」#2.

「自由と正義の名の下に・1」

「え、と。ここで待っていればいいはず、
なんだけど。」
つぼみは潮風来る駅前の停車場で、「迎え」を待っていた。

彼女が行くべき先である、
「ジャスダム基地」は、今は、以前建造されていた
「飛島」にある。ここはいわゆる「離島」にあり、
出入りには専用の連絡船もしくは地下トンネルを
通るかのいずれかのルートしかない。当然、
「これから」のものにとっては交通手段が無いも
同然であり。しかも、関係者以外は立ち入ることも
出来ないように、厳重なチェックがされているのは、
もはや言わずもがな。

「迎えのものをよこすから」待ち合わせ場所を
あらかじめ指定されたいたつぼみは、まずは
それに従うしかなかった。

「誰が来てくださるのかな…。昨日の、あの人
だったら凄く嬉しいんだけどな。」
この年頃の女性の、極めて当たり前な期待。しかし、
仮にも
「このミッションにおけるエースパイロット」である
人物が、新人の迎えになど来るはずもなく。

「つぼみ、昨日のあの人が来てくれる事考えてるですぅw。」
シプレから早速のツッコミが。「ぬいぐるみ」としてかばんの
中に入ってもらっていたはずなのに、いつの間にかつぼみの
頭の上の「定位置」に。

「違いますよ、シプレったら;。」余りのど真ん中ぶりに
真っ赤になっているところに、

「貴方が、花咲つぼみさんかしら?」
車のドアが開いて、凛とした、それでいて華のある
若い女性の声。
「え、あ…はい!そうです!!」
いきなりの呼びかけに、狼狽するしかない、つぼみ。
当然、シプレも固まってしまい。

「頭の上にぬいぐるみを乗せてる?…」小さな女の子なら
ともかく、妙齢で、なおかつ「色々といわくあり」なはずの
若い女性が、

ぬいぐるみ on the head というのは余りにも
シュールではないか?

「すいません。これ、しまいます!」あたふたとかばんの中に
「それ」をしまいこむつぼみの姿を見て、微笑む彼女。
「大丈夫、あわてないでいいから。」
もしかしたら極度の緊張から来るものだったのでは、と
それなりに状況を解釈し、できる限り、この「妹分」になる
はずの新入りをリラックスさせないと、「彼女」は考えて。

「初めまして、花咲つぼみさん。私は霧野リサ。ジャスダムでは
オペレート担当しているの。」初めて会った人ならば思わず
引き付けられる、華やかな笑顔だったのだが。

「ええええ!ということは、第一期チームの『紅一点』さんで、
すなわち、
『あの人』の『そういう人』おおおお!!」
逆効果;。昨日のことを思い出したつぼみは、ますますパニック
状態に。当然だ。まさかこんなに早く『本人』に出会うとは。

明るい金茶色のセミロング。光に当たれば金色にも見える。
切れ長の鳶色の眸。清楚な外見にも関わらず、機敏な物腰は
何気に友人である明堂院いつきを思い起こさせる。

「貴方が、あの花束を選んでくれたのね?有難う。
あれだけ見事なチューリップを見たの、随分久しぶり
だったから。是非、直に会ってお礼が言いたかったの。」
「あ、いえ、とんでもないです。こちらこそ。
お客様のリクエストにお応えしただけだったので。」

「地球では、異常気象がすっかり当たり前になっていて。
…チューリップですら、自然では咲かなくなって久しいし。
本当なら、今の時期のチューリップは『春の使者』のはず
なんだけど。」
「チューリップ、お好きなんですか?」
「ええ。『春』そのものだしね。それに、花言葉も可愛らしい、
というか。」
「チューリップの花言葉、ご存知だったら、ごめんなさい。
白と黄色、できれば避けたかったんですけど。」
「いいのよ。彼のことだから、きっと気にしない、とか
言ったんだろうし。」くすくす笑いながら。

さすが、見てきたような図星っぷり。言葉の裏に見え隠れする
「絆の積み重ね」を垣間見た気がした、つぼみだった。

「こうしてみてると、ちっとも心配するところなんか無いのに?」
あのとき、「彼」が見せた、憂いた表情。

数々の「思い」をはらみつつも、車は目的地へと向かっていた。
(1.了。2に続く)

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